基本は上位人気堅調

ここ2年、日経賞はタイトルホルダーの年明け初戦に選ばれていた。2年前は逃げ切り、昨年は2コーナーから先頭に立って押し切った。どちらもスローペースに落とし、休み明け、次走GⅠという状況を考慮した巧みなレース運びだった。不良馬場だった昨年は8馬身差もつけ圧倒的な性能を見せつけた。

この路線を常に引っ張ってきたタイトルホルダーが去り、日経賞に限らず、天皇賞(春)も流れが読みにくい状況が続く。パンサラッサ、タイトルホルダーの引退はこの先の中長距離戦線に大きな影響を与えそうだ。データは過去10年分を使用する。

日経賞の人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【3-3-0-4】勝率30.0%、複勝率60.0%を筆頭に勝ち馬は4番人気以内から出ており、テンジンショウグンのような単勝万馬券は出現していない。2、3着も7番人気【0-2-1-7】複勝率30.0%が精一杯で大波乱はあまり起きない。日経賞は12頭前後の落ち着いた頭数になる年が多く、そもそも人気薄が少ないレースでもある。

しかしながら、今年はタイトルホルダー級のGⅠ馬が見当たらず久々に混戦模様だ。思わぬ波乱もあるかもしれない。

日経賞の年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では4歳が【5-4-1-16】勝率19.2%、複勝率38.5%と5歳以上を大きく引き離す。ただ、今年は4歳馬がおらず、柱になる存在がいない。

5歳【3-2-3-25】勝率9.1%、複勝率24.2%、6歳【2-2-3-32】勝率5.1%、複勝率17.9%と5歳以上に大きな差はない。

AJCC最下位アドマイヤハレーも

今年の中心はAJCC組と重賞ウイナーのヒートオンビートあたり。ベテラン勢同士の組み合わせになる。前走データを参考に好走ゾーンに入る馬を探していこう。

日経賞の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別では前走GⅠ【4-6-3-14】勝率14.8%、複勝率48.1%、うち有馬記念が【4-4-3-7】勝率22.2%、複勝率61.1%。その10着以下馬【0-2-1-5】複勝率37.5%なので、ヒートオンビートを軸にしてもいい。同馬は2500mの重賞【1-1-3-2】で距離巧者。着外2回が中山芝2500mなのは気になるが、日経賞は22年3着もある。中山でもスローからある程度上がりが速ければ対応できる。ハイペースは考えにくい組み合わせであり、実績的にも計算できる。

日経賞の前走GⅡレース別成績,ⒸSPAIA


今年のポイントになりそうな前走GⅡは【5-3-5-49】勝率8.1%、複勝率21.0%。その内訳をみると、AJCCは【2-2-2-16】勝率9.1%、複勝率27.3%。着順内訳は2着【0-0-0-1】、3着【0-2-0-1】、5着【0-0-1-1】、6〜9着【1-0-1-8】、10着以下【0-0-0-2】。前走2着ボッケリーニ、同3着クロミナンス、同5着マイネルウィルトスは好走する可能性がある。

ただし今年のAJCCは開催最終日でレース前に止んだものの降雨があり、不良馬場で行われた。勝ち時計は2:16.6とかかり、前半1000m通過1:02.2は馬場を考えればそれなりに速かった。残り1000m12.2-12.1-12.2-12.5-13.1と早めにペースがあがり最後は我慢比べになった。日経賞も雨が多い時期であり昨年の不良馬場のように似た状況になる可能性もなくはない。しかし、良馬場だと少し着順を鵜呑みにできない。最下位12着に敗れたアドマイヤハレーも良馬場なら巻き返し必至だ。

日経賞に関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。

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