小川絵梨子芸術監督が、その就任とともに打ち出した支柱のひとつ、すべての出演者をオーディションで決定するフルオーディション企画・その第7弾となる、2025年7月公演『消えていくなら朝』。この度、全キャストが決定したことが発表された。

2018年7月に蓬莱竜太が新国立劇場のために書き下ろし、宮田慶子が演出、第6回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞を受賞した本作。今回は演出に、その作家でもある蓬莱竜太を迎え、2024年1月12日より公募を開始、2090通の応募があったそうだ。2月初旬の書類選考を経て、3月中旬まで一次選考、二次選考を行い、すべての出演者が下記の通り決定した。

決定キャスト(台本順)
羽田定男(僕)  関口アナン
羽田庄吾(兄)  松本哲也
羽田可奈(妹)  田実陽子
羽田君江(母)  大沼百合子
羽田庄次郎(父) 大谷亮介
才谷レイ(彼女) 坂東 希

社会での最小単位である家族が織りなす様々な風景から、今日の社会の姿を照らし出す作品を集めた、シリーズ「光景─ここから先へと─」。本作は、2025年に上演する海外招聘公演『母』、6月に上演する『ザ・ヒューマンズ─人間たち』に続く、シリーズ企画の3作品目となる。最も身近で、最も厄介な存在である「家族」を、蓬莱独自の視点で切り取った本作が、オーディションを経て選ばれた6名のキャストと共にどんな新たな“光景”を生み出すのか、期待しよう。

作・演出 蓬莱竜太 コメント

たくさんの役者さんに出会えたオーディションでした。オーディションとは残念ながらほとんどの役者とご一緒できないのだと、改めて痛感しました。色々な迷いと思いの中、6人を選出させていただきました。その選択が既に作品の世界と核を作るような作業だと感じていました。公演は来年ではありますが、長い期間をかけながら作り上げていきたいと思います。是非ともその世界を味わいに劇場に足を運んでください。

演劇芸術監督 小川絵梨子 コメント

『消えていくなら朝』のオーディションにご応募くださった方々、そして長期にわたるオーディションにご参加くださった方々に厚く御礼申し上げます。
オーディションを通して皆様と出会う機会をいただけることは、我々劇場にとりましても、また演出家の方々にとりましても大切な財産です。
本企画はこの度で7回目を迎えましたが、これまで続けてこられたのは、ご応募くださったお一人おひとりのおかげです。オーディションですべてのキャスティングを、との思いを掲げても、参加してくださる方々がいてくださらなければ、この企画自体を続けることが難しかったと思います。
過去には本企画でのオーディションでの出会いから、当劇場の作品や、またご担当くださった演出家の方の別の作品でご一緒させていただく、といった機会も少なからず生まれており、本企画を続けていく上で一つの励みともなっております。
新国立劇場演劇では、引き続きオーディションにて作品を作ることの豊かさとその意義を探究しつづけて参りたいと思います。皆様にまたご興味を持っていただくことができましたら幸いに存じます。
重ねて、本作品に興味を持ってくださったこと、オーディションにご参加いただきましたお一人おひとりに、心より感謝申し上げます。