2024年11月・12月に、新橋演舞場・南座・御園座にて、舞台『有頂天家族』が上演されることが決定した。

『有頂天家族』は、シリーズ累計55万部を誇る、森見登美彦の大人気小説。2003年の作家デビュー以降、京都を舞台とした作品を多く生み出し、数々の文学賞を受賞している森見登美彦が、2007年に発表した『有頂天家族』。悠久の歴史を持つ京都を、人間に化けて暮らす狸たちが縦横無尽に駆け回るという、みやびで愉快なファンタジーでありながら、作品の核を成しているのは、切なくも温かい家族愛。この圧倒的な世界観は唯一無二であり、漫画、アニメにもなって人気を博し、多くのファンに愛され続けている。そんな本作が、ストレートプレイとして舞台化することが決定。

今回の舞台化では、個性的で多彩な登場人物たちが、“森見節”炸裂の小気味よい台詞の応酬を繰り広げるのが見どころのひとつ。そして、演劇ならではのアナログな手法で、視覚的な面白さも追及し、作品のファンタジーな展開も魅せる。

オリジナル作品を多く生み出しながら、これまで『ガラスの仮面』、新作歌舞伎『NARUTO』『風の谷のナウシカ』、ミュージカル『SPY×FAMILY』などの原作物の舞台化を成功させ、数々の話題作を手掛けてきたG2が脚本・演出を担い、バラエティ豊かな俳優陣の共演により、演劇ならではの魅力あふれる『有頂天家族』が誕生する。

人間社会にまぎれて暮らす狸の一家・下鴨家の、好奇心旺盛で家族思いな三男・矢三郎が主人公。父の「阿呆の血」を色濃く受け継いだ矢三郎を演じるのは、成長著しい歌舞伎界の次代を担うホープ中村鷹之資と、舞台・ドラマ・バラエティとマルチに活躍する濱田龍臣。異なるジャンルながらともに芸歴20年近いキャリアを持つ2人によるWキャスト。また、人間でありながら、天狗並みの能力を持つ、妖艶な美女・弁天に若月佑美。父の跡を継ごうとする生真面目だが土壇場に弱い下鴨家の長男・矢一郎に渡部秀。そして、立派な狸として狸界の頭領を勤めていた四兄弟の亡き父・総一郎と、総一郎の弟でありながら四兄弟と敵対する狸・夷川早雲の二役を池田成志。下鴨家の師匠であり、隠居を余儀なくされた現在も弁天への恋心を忘れない天狗・赤玉先生を相島一之。タカラヅカをこよなく愛し、四兄弟を優しく見守る母・桃仙を檀れいが勤める。

(上段左から)中村鷹之資、濱田龍臣、若月佑美、渡部秀(下段左から)池田成志、相島一之、檀れい

(上段左から)中村鷹之資、濱田龍臣、若月佑美、渡部秀(下段左から)池田成志、相島一之、檀れい

 
【ものがたり】
千年の都・京都では、古(いにしえ)より大勢の“狸”が人間に化けて暮らしている。下鴨神社、糺ノ森に住まう狸の名門・下鴨家では、狸界の頭領「偽右衛門」であった偉大な父・総一郎が、ある年の瀬、京都の美食クラブ「金曜俱楽部」の忘年会で狸鍋にされてこの世を去った。残された四兄弟の矢一郎・矢二郎・矢三郎・矢四郎と母の桃仙は、神通力を持った美女である弁天と、下鴨家の師匠であり、弁天に恋する隠居中の大天狗・赤玉先生に振り回されながらも、「面白きことは良きことなり!」を合言葉にそれなりに楽しく暮らしている。が、弁天は「金曜俱楽部」のメンバーでもあった……。
さらに、下鴨家には長年対立する一家がいる。四兄弟の叔父・早雲が率いる夷川家だ。早雲の息子の金閣・銀閣も、事あるごとに下鴨家に突っかかってくるのが日常で、夏の風物詩である「五山の送り火」の際には、亡き父を偲ぶ下鴨家に、ど派手な空中戦を仕掛けてくる始末。しかし、矢三郎の元許嫁で、金閣・銀閣の妹でもある海星だけは、こっそり矢三郎を助けてくれる。
季節は巡り、狸界では、空席であった頭領「偽右衛門」の座を争って、選挙が行われることとなる。立候補したのは、亡き父の意思を継ぎ、立派な狸になろうとする長男・矢一郎と、狸界を牛耳ろうとする早雲。叔父と甥が対決するこの運命の選挙は、なんと、狸鍋がもてなされる「金曜俱楽部」の会合と同日に開催されようとしていた。その当日、夷川家の策略で、桃仙と矢一郎が狸鍋の具として捕まり、檻に入れられてしまう。矢三郎は兄弟らとともに二人を助けに向かうが、父・総一郎が鍋にされた真相と、矢二郎が蛙の姿で井戸に引きこもっている理由も明らかになり……。下鴨家の運命は、一体どうなる!?

中村鷹之資 コメント

この度、舞台『有頂天家族』で下鴨矢三郎のお役を勤めさせていただきます中村鷹之資です。初めて歌舞伎以外のお芝居に出演させていただくことになり、身の引き締まる思いです。私自身、なんだか「たぬき」には縁が深いような気がしますが、たぬきといえば鷹之資と思っていただけるように、Wキャストの濱田龍臣さんと手を取り合って精一杯このお役に向き合っていきたいと思っております。劇場でお待ちしております!

濱田龍臣 コメント

この度、舞台『有頂天家族』にて、矢三郎役を演じさせていただきます。 濱田龍臣です。 小説原作から、アニメにもなっている作品を舞台化するということで、今からとても楽しみです! 自分自身、矢三郎のように「面白きことは良きことなり!」を身上に、原作の世界観や矢三郎のキャラクター性をしっかりと作り上げ、Wキャストの中村鷹之資さんと共に主演として作品を作り上げていければと思っております。是非、劇場へ足をお運びいただければ幸いです。

脚本・演出:G2 コメント

森見登美彦作品の飄々としてるのに饒舌なるボキャブラリーの奔流に巻き込まれていくあの独特の快感は小説ならでは。あれだけは小説でしか……「いやいや、そんなことはないはず!」と言いたくて手をあげました。『有頂天家族』に充ち満ちた不可思議なエネルギーを掬い取って劇場空間に放つ、それだけで面白い舞台になるはず。いやいや、その「それだけ」が超ムズいのでありますが、演劇人魂に賭けて、そこそこ頑張ってみます。