TBS「3年B組金八先生」やNHK連続テレビ小説「マー姉ちゃん」、大河ドラマ「徳川家康」、「翔ぶが如く」などの名作ドラマの脚本で知られた脚本家の小山内美江子(おさない・みえこ、本名・笹平美江子)さんが2日、老衰のため死去した。94歳。横浜市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。

 長男で俳優の利重剛(61)が所属事務所「クォーター・トーン」と自身のホームページで発表した。「老衰による穏やかな逝去でした」とし「やりたいことをやり、言いたいことを言い、多くの人々に愛された、幸せな人生だったと思います。生前のご厚情を深く感謝いたします。本当にありがとうございました」と報告した。

 「翔ぶが如く」で主演した西田敏行は「司馬遼太郎原作、小山内美江子さん脚本で西郷隆盛を演じさせて頂きました。役者にとって、毎回ワクワクする脚本を頂き、楽しくてあっという間の1年の収録でした。ありがとうございました」としのんだ。

 40年以上の親交があるというドラマプロデューサーの石井ふく子氏は「『花の吉原 雪の旅』(1984)などでご一緒したことを今でも覚えています。他にもたくさん本をお願いしました」と回顧。打ち合わせ後にはよくご飯を食べに行ったエピソードを口にし、「いい思い出でした」としのんだ。「優しいですが、臆せずにやってくる方。脚本を巡っては、口げんかもたくさんしました」というが「でもね、“けんか程仲がいい”って言いますよね。大好きな方で仕事もしやすかったです」と思いを馳せた。

 「構成力とせりふ力、どちらも独特で素晴らしかった」と絶賛。「せりふは気持ちから入る“小山内流”で、せりふにダメ出しをしたことはほとんどなかったです。心のあるドラマを作ってくれました」と振り返った。

 「金八先生」の出演者も悼んだ。

 主演を務めた武田鉄矢は、小山内さんと最後に会ったのは2016年9月だったという。事務所を通じて「長いお付き合いでした。32年に渡り、描き続けて下さった『3年B組金八先生』は私の人生を貫く心を作ってくれた作品でした。初めてお会いした日から、最後にお別れした日まで、これからその32年をゆっくり振り返り、何度も何度も思い返そうと思います」と悼んだ。

 杉田かおるが15歳で妊娠した生徒を演じて話題となった「15の母」の相手役で出演した鶴見辰吾は「小山内先生は、恩師であり、母であり、心の羅針盤たる人でした。何十年も前に出演した金八先生の生徒役のみんなをいつまでも、お気にかけていてくださいました。カンボジアに学校を作る活動にも尽力なさりました。たくさんの愛情をいただきありがとうございました」と所属事務所を通じてコメントした。

 01年10月〜02年3月に放送された「3年B組金八先生」第6シリーズで、当時、世間的な理解の低かった性同一性障害の生徒を演じて話題となった上戸彩は事務所を通じて出したコメントで「だただ悲しいです。寂しいです。会いたいです」と悲痛な思いを吐露。「先生とはずっと文通をさせていただいていましたね。そのお手紙の一通一通が私には一生の宝物です」と交流を明かし「金八先生の撮影時は叱られることがほとんどだった私ですが、いつの日か先生に褒めていただけるようなお芝居ができるよう、これからも芝居に真摯に向き合っていきたいと思います」と誓った。