早朝から沸きに沸いた。米クラシック3冠初戦「第150回ケンタッキーダービー(G1)」が4日(日本時間5日朝)、ケンタッキー州ルイビルのチャーチルダウンズ競馬場(ダート2000メートル、20頭)で行われた。日本調教馬の初制覇に挑んだフォーエバーヤング(牡=矢作)はゴール前大接戦の末に惜敗3着。同レース史上、日本馬最高の着順となった。同じく日本から参戦したテーオーパスワード(牡=高柳大)は5着。米国のミスティックダンが優勝した。

 闘志をたぎらせて懸命に伸びてきた。フォーエバーヤングは直線、シエラレオーネと馬体を併せる。ぶつけられてもひるまない。激しく競り合い、先に抜け出したミスティックダンとの差を詰める。届くのか。捉えかけたところでゴール。大接戦の末、内のミスティックダン、外のシエラレオーネから鼻+鼻差の3着。日本調教馬では19年マスターフェンサー、23年デルマソトガケの6着を上回る最高着順だった。健闘した事実より、歴史の扉を開きかけて届かなかった無念が込み上げる。坂井は開口一番「本当に悔しい」と振り返れば、矢作師も「あそこまで行ったので勝ちたかった」と声を震わせた。

 スタートで立ち遅れて後方から。坂井は「取れたらなるべくポジションを取りたかったですけど、周りの馬も速かったので」と冷静に進めた。向正面で促しながら位置を上げて直線へ。「これは勝てるんじゃないかなという手応えでしたけど、(最後は)脚色が一緒になってしまいました」と振り返った。

 6戦目で喫した初黒星。サウジダービーとUAEダービーを連勝して勇躍、この大舞台でも強さを知らしめた。矢作師は「よく頑張ってくれた。この経験は間違いなく生きてくると思います」と前を向いた。「ウマ娘」で知られる藤田晋オーナーは本紙の取材に「何とも悔しいやら、強くて感心したやらで言葉にならなかったですが、負けたけどこの健闘は誇らしいです。また米国でリベンジする日を夢見たいと思います」と語った。この敗戦を糧に、さらなるステージへ。次走は未定ながら矢作師は「世界一の馬になれるように一緒に歩んでいきたい」と決意を新たにした。