ノジマTリーグ 2023-2024シーズン」は23日、女子のプレーオフファイナルが行われ、レギュラーシーズン2位の日本生命レッドエルフが、同1位の木下アビエル神奈川と対戦。3−0で勝利し、2年ぶりの優勝を果たした。

■全日本Vペアを圧巻撃破

前日に日本ペイントマレッツを下し決勝へ勝ち進んだ日本生命だが、ファイナルで対したのはレギュラシーズン首位のKA神奈川。平野美宇、張本美和という五輪メンバーを中心としたスター軍団を前に劣勢も予想された。

そんなチームの風向きを変えたのが笹尾明日香と麻生麗名のペア。1番手のダブルスで起用された両者は今年の全日本選手権を制した木原美悠、長﨑美柚という日本代表選手に対し、1ゲーム目を奪われながらも第2ゲームのデュースの攻防を制すると、その勢いのまま第3ゲームも奪取し、貴重な白星をもたらす。プレーオフのMVPに輝く活躍を見せた。

これまでの日本生命の2枚看板を担っていたのが早田ひなと伊藤美誠で、パリ五輪の選考時期と重なった今季は両者が不在の試合も少なくなかった。

そんななかでセミファイナルでは赤江夏星、ファイナルでは笹尾、麻生が躍動。シーズンでシングルス8勝を挙げた森さくらもそこに加わり、早田と伊藤が欠場する試合もあるなかシーズンでは2位。そして、プレーオフでは2年ぶりの優勝につなげた。

■殊勲のMVP獲得

そんな選手たちを村上恭和総監督も評価し、「彼女たちが良いのは一緒に生活しながら『Tリーグに向けて頑張ろう』という気持ち」と卓球に真摯に取り組む姿勢に言及。

「他のチームと比べても、ずば抜けた意志をもって練習をする。そういう意味で本当の勝負になった時、あるいはレギュラーシーズンでも自分が出るチャンスをもらった時に頑張れる」と、与えられたチャンスを活かした要因を明かした。

笹尾は「ファイナルの試合に出場させていただくのは初めてで、最初は緊張している部分があった」とファイナルでの抜擢に正直な想いを語り、「相手が強いので向かっていく、思い切って楽しくやることを意識した結果、優勝することができた」と勝因を分析。麻生も「自分たちらしく試合をして勝てて、MVPも獲ることができてとても嬉しい」と述べている。

早田、伊藤という2枚看板不在時を支えた選手たちがもたらしたTリーグ制覇。新たな日本生命の姿で今季を戦い、2年ぶりの戴冠につなげた。

赤江夏星 撮影:SPREAD編集部

取材・文●井本佳孝(SPREAD編集部)