新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、8日から5類に引き下げられ、感染対策は、個人に委ねられることになりました。5類移行で何が変わるのか解説します。

新型コロナ5類移行で変わること

後藤舜キャスター:
ここからは、県政担当の大槻記者とお伝えします。経済、生活、価値観にも大きな影響を与えたわけですが、5類移行で何が変わるのでしょうか。

TBC

大槻聡記者:
感染症法では、ウイルスや細菌を感染の広がりやすさや症状の重症度など、危険度に応じて5段階に分類しています。1類が最も危険度が高いとされ、エボラ出血熱やペストなど。2類には結核やSARS(サーズ)などがあり、「5類」には季節性インフルエンザや梅毒などがあります。
新型コロナは、当初は特性がわからなかったため「2類相当」とされていましたが、8日からは5類に引き下げられたということです。

TBC

後藤キャスター:
季節性インフルエンザと同じ分類ですね。国や自治体の行う措置は、どう変わるのでしょう?

行動制限なくなり個人の判断に

大槻記者:
宮城県の対応をまとめました。まずは「行動制限」について、緊急事態宣言や県民への要請、入院勧告、就業制限は全てできなくなります。また、感染者の待機期間もこれまでは「7日間の外出自粛要請」としていましたが、「5日間の外出自粛を推奨」と改められました。

TBC

後藤キャスター:
行動制限はなくなり、個人の判断になるわけですね。

大槻記者:
そうなります。医療態勢も大きく変わります。

全ての医療機関で入院・外来診療ができるよう支援

医師は重症化リスクの高い感染者について発生の届け出を保健所に出さなければなりませんでしたが、必要なくなります。また、入院患者は原則、感染症指定医療機関が受け入れ、外来も特定の医療機関で診療や検査が行われてきましたが、今後は、より幅広い医療機関に拡大されることになります。県は、最終的には全ての医療機関で入院や外来診療ができるよう支援するとしていますが、医療関係者からは不安の声も聞かれます。

TBC

松島病院 丹野尚院長:
「当院はたいして大きくない建物の中に急性期病棟と2つの高齢者施設と産婦人科病棟も一緒にあって急性期病棟の一角には妊婦さんや新生児もいる。そういう中でコロナ(患者)を入院・治療するスペースはどうやりくりしてもちょっと難しい」

TBC

後藤キャスター:
今の段階では、どこの医療機関でも入院や診療を受けられるわけではないということですね。そして、気になるのが医療費ですが。

全額公費負担から自己負担に

大槻記者:
医療費は、これまで全額公費負担でしたが、8日からは自己負担となります。ただし、県は移行期間として9月末までは入院費は月に最大2万円、治療薬の費用は全額補助します。またワクチン接種については今年度末、来年3月末までは自己負担なしとします。

TBC

後藤キャスター:
これまではPCRなどの検査も無料で受けられましたよね?

大槻記者:
はい、まずはPCR検査についてです。4月10日時点で県内167か所で行われていた無料検査も終了し、今後は医療機関や民間企業などが有料で行います。また、県が行っていた入院先の調整は、病院間で行われるようになり、隔離のためのホテルなどの宿泊療養施設はなくなります。

TBC

8日は、事務所の片付け作業も行われていました。県民からの相談窓口は受診情報センターとして継続します。

後藤キャスター:
私たちは今後、新型コロナについて季節性インフルエンザと同じように考えればよいのでしょうか。

専門家は「やはり別物」

大槻記者:
法律上の位置づけはそうなります。しかし、新型コロナウイルスの特性自体が変わったわけではありません。東北医科薬科大学の遠藤史郎教授に聞きました。

東北医科薬科大学 遠藤史郎教授:
「コロナの特徴として後遺症というのが非常にクローズアップされている。インフルエンザは発症してから感染性がピークを迎えるが、(新型コロナは)発症前から感染力を持っているとなると別の疾患なので分類として同じになったが、やはり別物として扱わなければならない」

TBC

大槻記者:
県は、第9波の可能性も考え、今年9月末までは移行期間として医師会や医療機関と連携し、慎重かつ柔軟にに対応していくと強調しています。5類に移行したものの今後も感染状況などを慎重に見ていく必要があります。