14日夜遅くからは東北付近で梅雨前線の活動が活発になり、秋田県を中心に過去にないような大雨の恐れがあります。2017年の雄物川氾濫時に匹敵、場合によってはその時を上回る大雨が予想されます。まだ予報に幅はありますが、土砂災害や浸水害が想定される場所では、14日の明るいうちに避難や防災対応が必要になります。前線の位置などによっては、秋田県と隣接する青森、岩手、山形県民の皆さんも大雨の恐れがあり、厳重に警戒してください。

秋田県では過去最大を超える大雨の恐れ

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14日(金)は梅雨前線が東北地方に北上し、15日(土)から16日(日)頃にかけて東北付近に停滞する見込みです。
前線に向かって非常に暖かく湿った空気が流れ込むため、東北北部を中心に警報級の大雨の恐れがあります。

特に、災害級の大雨が予想されるのが秋田県内です。
上の図は、15日(土)から16日(日)の間で予想される24時間降水量の最大値と、その降水量がそれぞれの場所において過去最大の降水量と比較して何%に達するのか、ということを示しています(既往最大比)。

これが100%前後に達すると、甚大な被害の発生する可能性が高まり、150%を超えると犠牲者の発生数が急増する可能性があるという研究結果があります。

昨日の予想よりも、秋田県内では既往最大比が100%を超える範囲が広がっています。
15日(土)を中心に、既往最大比は秋田県の白神山地の南麓、森吉山や大平山周辺で130〜150%が予想され、山形県の鳥海山の南麓も100%前後が予想されます。
予想にはまだ幅はあるものの、甚大な被害の発生する可能性が高まっています。

※1 既往最大比とは、解析雨量が1kmメッシュ化された2006年5月以降に観測された雨量の最大値との比のこと。

※2 本間基寛,牛山素行:豪雨災害における犠牲者数の推定方法に関する研究,自然災害科学,Vol. 40,特別号,pp. 157-174,2021.

過去の災害時に匹敵する雨量

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こちらの図は、雄物川が氾濫した2017年7月22日〜23日の48時間降水量(左)と、この先15日(土)から16日(日)の48時間に予想される降水量(右)を比べた図です。
この年はひと夏に2回、雄物川が氾濫しましたが、これは一度目の事例です。

左の図では、最大の雨量が300ミリを超えていますが、右の予想でも同じような地域で300ミリ以上の予想が広がっています。
13日(木)現在、氾濫時と同程度か、場合によってはそれ以上の大雨が予想されており、川の氾濫や土砂災害などに厳重な警戒が必要です。

また、右の予想雨量のピークの場所に注目すると、秋田県・青森県境の白神山地周辺、秋田県・山形県境の鳥海山周辺でも大雨になる傾向です。
今後、前線位置の南北のずれや、前線上の低気圧の発達具合等によって大雨の降る場所が変わる可能性もあります。
最新の情報に注意して、周辺地域でも大雨への備えを進めてください。

避難の準備はあす14日の日中までに

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今回の大雨は14日(金)の夜以降には始まるため、14日(金)の明るいうちに行動を起こすことが大切です。

いざという時のために、自分でできる備えがあります。ライフラインが断絶した場合に耐えられるよう、以下の3つのことを、事前に確認しておいたり、備えておいたりしてください。

①落雷や突風などで夜間に停電になることがあります。懐中電灯を準備し、点灯するか確認しておきましょう。
②断水になった場合に備えて、飲料水を確保するのはもちろん、浴槽に水を張るなど生活用水も確保しておきましょう。
③避難場所で、数日間、過ごすことを想定し、非常用持ち出し品の準備や、食料の確保をしておきましょう。

また、普段から、避難場所や避難経路を確認しておくのはもちろん、家族で、緊急の場合の連絡手段と、その方法を話し合い、落ち合う場所などを決めておくのも大切です。

梅雨明け予想

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東北の梅雨明けは来週末に持ち越しとなりそうです。
日本気象協会が13日(木)に発表した梅雨明け予想では、東北は南部・北部とも22日(土)頃の予想です。
来週後半も再び梅雨前線の活動が活発になる恐れがあり、梅雨末期の大雨が繰り返す可能性があります。
今後も最新の気象情報にご注意ください。
また、梅雨明け後も東北地方には湿った空気が流れこみやすい傾向で、曇りや雨の日が多くなる可能性があります。