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香川県では、昨秋からの渇水の影響で、2月8日(木)から始まった第一次取水制限が続いています。ただ、今年の2月は高松で平年の2.6倍も雨が降り、52年ぶりに2月の月間降水量の記録を更新しました。普段は雨が少ない香川県で雨が多くなった理由は、低気圧のコースにあります。

2月の月間降水量 香川県の5地点で統計開始以来最多

香川県では、昨秋からの渇水に伴い、2月8日(木)から始まった第一次取水制限が続いています。

ただ、今年の2月は香川県としては雨量がまとまり、高松の月間降水量は119.5ミリを記録しました(平年の2月降水量45.8ミリの2.6倍)。1972年の同月に記録した110.0ミリを52年ぶりに更新し、1942年の統計開始以来最多となっています。

そのほか、香川県では以下の地点でも最多記録を更新しました。()内は統計開始年。
・三豊市財田 99.5ミリ(1978)
・綾川町滝宮 120.0ミリ(1976)
・香南(高松空港) 116.5ミリ(2003)
・竜王山 100.0ミリ(1982)

また、香川県の主な水源である早明浦ダム(高知県)の水位は、このひと月で約10%回復し、70.1%となっています。(3月1日(金)11時現在)

香川県で雨が増える条件 低気圧のコースが重要

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普段は雨が少ない香川県で、なぜ2月は雨の量が多くなったのでしょうか。その理由は、低気圧のコースにあります。

○日本海低気圧
2月15日(木)、低気圧が日本海を発達しながら進み、四国地方では春一番が吹きました。日本海を低気圧が進む場合、四国地方には南から暖湿な空気が流れ込みます。この空気が四国山地を越える際、早明浦ダムの周辺にはまとまった雨を降らせますが、香川県で雨の量が多くなることは滅多にありません。実際、この低気圧が通過時に高松で降った雨の量は、わずか2ミリ程度です。

○南岸低気圧
2月5日(月)、低気圧が日本の南岸付近を進み、午後は関東などに大雪をもたらしました。南岸低気圧が日本付近を通過する場合の特徴として、太平洋側を中心にまとまった雨や雪を降らせることです。2月3日(土)から5日(月)にかけて、日本の南や日本の南岸付近を低気圧が2度にわたって通過し、高松では3日間で約35ミリの雨が降りました。

このように、低気圧が進むコースによって、香川県の雨量は大きく変化します。今年の2月は暖冬の影響で冬型が長続きせず、南を進む低気圧が多かったことが原因だと考えられ、結果として早明浦ダムの貯水率も増加したということになります。冬は空気中に含まれる水蒸気量が少なく、通年でみると、結局のところ春から秋にかけての雨がカギとなりますが、今年の2月の雨は渇水解消への大きな一歩となりそうです。