NBAの2022−23シーズン、サクラメント・キングスは大躍進を遂げ、リーグ最大のサプライズチームとなった。

 2006年を最後にプレーオフから遠ざかり、ドアマットチームと化していたキングスだが、今季はマイク・ブラウン新HC(ヘッドコーチ)の下、ウエスタン・カンファレンス3位の48勝34敗(勝率58.5%)をマークし、17年ぶりのプレーオフ進出を飾った。

 ポストシーズンでは1回戦でゴールデンステイト・ウォリアーズの前に3勝4敗で惜敗したものの、第6戦では敵地で快勝するなど、昨季王者をあと一歩のところまで追いつめた。

 今季の主要アウォードでも、キングスからはディアロン・フォックスが最優秀クラッチプレーヤー賞、ブラウンHCが史上初となる満票で最優秀コーチ賞に選ばれており、現地時間5月3日(日本時間4日)にはモンテ・マクネア―GM(ゼネラルマネージャー)が最優秀エグゼクティブ賞に選出された。

 ヒューストン・ロケッツで13年間、フロントオフィスの一員を務めてきたマクネアーは、20年9月にキングスのGMへ就任。昨年2月にタイリース・ハリバートン、バディ・ヒールドら主力をインディアナ・ペイサーズに手放し、ドマンタス・サボニスを獲得したことを皮切りに、着々と補強を進めてきた。

 昨夏にドラフト1巡目全体4位でフォワードのキーガン・マレーを指名し、トレードでアトランタ・ホークスからガードのケビン・ハーター、フリーエージェント(FA)戦線ではガードのマリーク・モンクらを獲得。

 今季は生え抜き司令塔のフォックスがリーダーとしても成長を遂げ、サボニスは平均12.3本でリバウンド王になっただけでなく、プレーメーカーとしてもチーム最多の7.3アシスト、さらに平均19.1点、フィールドゴール成功率61.5%を記録。
  また、フォックスは試合時間残り5分で5点差以内のクラッチ・ゲームでリーグ最多の194得点を叩き出し、サボニスはダブルダブルでリーグトップの65回、トリプルダブルでもリーグ2位の14回と、オールラウンドな働きを見せ、2人はオールスターに選出された。

 そのほか、新加入のハーターは高精度なアウトサイドショットで貢献し、マレーはルーキーとしてNBA史上最多となる206本の長距離砲をヒット。ベテランのハリソン・バーンズが攻守で安定したパフォーマンスを見せ、モンクはシックスマンとして暴れ回った。

 とはいえ、今季のキングスが大躍進を果たせたのは、フォックスとサボニスという2枚看板が見事に機能したことにある。

 マクネアーGMは3日の会見で「あの2人は期待を見事に上回ってくれた。それは個人としてだけでなく、お互いの面でもね」と話していた。

「彼らは個人として素晴らしかっただけでなく、他の選手たちのプレーを楽にしてくれた。互いにプレーすることが大好きなんだ。彼らのアンセルフィッシュさ、チームメイトを高める能力と個性、そういったことが我々へ特別なチームになるチャンスを与えてくれた」

 今夏に先発陣でFAになるのはバーンズ、ベンチではトレイ・ライルズやアレックス・レン、テレンス・デイビスの契約が切れるが、プレーオフ1回戦突破、さらにその先を目指すべく、マクネアーGMはロスター強化を入念に遂行していくこととなる。

文●秋山裕之(フリーライター)

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