女子テニスツアーのWTA1000大会「マドリード・オープン」(4月25日〜5月7日/スペイン・マドリード/クレーコート)は現地5月7日にシングルス決勝を実施。第2シードで世界ランク2位のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)が、第1シードで同1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)を6−3、3−6、6−3のフルセットで下し、同大会2年ぶりとなる優勝を飾った。

 今年1月の全豪オープンにおける悲願のグランドスラム(四大大会)初優勝をはじめ、新シーズン開幕から好調を維持している25歳のサバレンカ。今回のマドリードでも勢いそのままに持ち前の力強いプレーで順調に勝ち上がり、準決勝では第9シードのマリア・サッカリ(ギリシャ/9位)に6−4、6−1のストレートで快勝。準優勝に終わった2週間前の「ポルシェ・グランプリ」(WTA500)の決勝でストレート負けを喫していたシフィオンテクとのリベンジマッチが実現した。

 クレーコートにおける過去3度のシフィオンテクとの対戦では、1度もセットを奪ったことがなかったサバレンカだったが、この日の決勝では、凄まじい活躍を見せ続けている世界女王を相手に互角の打ち合いを展開。迎えた第8ゲームで値千金のブレークを奪うと、サービング・フォー・ザ・セットとなった第9ゲームを難なくキープして第1セットを先取する。

 第2セットは一転、ようやくリズムをつかみ始めたシフィオンテクに第1ゲームから3ゲーム連取を許し、第8ゲームでも再びブレークを献上してセットオールに持ち込まれる。それでも勝負のファイナルセットでは、得意のパワフルなテニスで2度のブレークに成功し、2時間25分の接戦を制して今季3勝目を手にした。
  見事に雪辱を果たして、笑顔で優勝トロフィーを掲げたベラルーシ女子テニス界のヒロインは、試合後の記者会見で、終始激しいバトルが繰り広げられた決勝戦を振り返りつつ、以下のように喜びを語った。

「超ハッピーな気分よ!素晴らしい戦いだった。このタイトルを手にして、とても幸せな気持ち。とても激しい試合だったわ」

 うれしさを爆発させながらもサバレンカは、21歳にしてすでに数々の輝かしい功績を残しているシフィオンテクを常にリスペクトしていると明かし、以下のようにコメントした。

「いつもながら、イガとはタフな戦いばかりで、彼女は私を限界まで追い詰めてくれる。今シーズンは彼女ともっと多くの決勝戦を戦えることを願っている」

「彼女は素晴らしい選手で、彼女が昨シーズン、そして今シーズンも活躍を続けていることが、『もっと良くなろう』、『もっと頑張ろう』という気持ちにさせてくれる。だから本当に彼女を尊敬している。彼女は素晴らしい選手だから、(いつも)本当に勝ちたいと思っている。彼女と戦い、勝利することで、私たちの試合を見る人たちが退屈しないようにすることができるのは、とても喜ばしいことね」

 サバレンカの言葉通り今回の1位と2位の頂上決戦は多くのファンを魅了したはずだ。近いうちに再び2人の対決が見られることを期待したい。

文●中村光佑

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