現地時間5月13日(日本時間14日、日付は以下同)、ゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンが自身のポッドキャスト番組“The Draymond Green Show”の最新エピソードを公開した。

 昨季の覇者ウォリアーズは、12日のウエスタン・カンファレンス・セミファイナル第6戦でロサンゼルス・レイカーズに101−122で大敗。プレーオフから姿を消していた。

 ウエストのカンファレンス決勝はレイカーズ、そしてフェニックス・サンズを4勝2敗で撃破したデンバー・ナゲッツによるシリーズとなる。

 この2チームがプレーオフで対戦するのは、2020年のカンファレンス決勝以来3年ぶり。今年はイースタン・カンファレンスの決勝も、3年前と同じくボストン・セルティックスとマイアミ・ヒートが激突することとなった。

 新型コロナウイルスのパンデミックにより、2019−20シーズンのNBAは2020年3月に前代未聞の中断を余儀なくされ、同年7月末にフロリダ州オーランドの“バブル”と呼ばれる隔離された施設で再開。特殊な環境、しかも無観客という状況でシーディングゲーム(順位決定戦)をこなしてプレーオフ出場チームを決め、プレーオフは通常どおりの4戦先勝で行なわれた。
  この年はレイカーズが4勝1敗でナゲッツを下し、4勝2敗でセルティックスを倒したヒートとNBAファイナルで激突。4勝2敗でシリーズを制したレイカーズが球団史上17度目の優勝を飾り、レブロン・ジェームズがファイナルMVPを獲得した。

 ウォリアーズは昨年のプレーオフ1回戦、ナゲッツと対戦して4勝1敗で撃破。グリーンはシリーズ第3戦終盤、ニコラ・ヨキッチから値千金のスティールを奪うウィニングプレーを決めるなど、攻守両面で勝利に貢献していた。

 16日からナゲッツのホームで幕を開ける今年のカンファレンス決勝を前に、グリーンはナゲッツの“ジョーカー”ことヨキッチ、レイカーズのアンソニー・デイビスをキープレーヤーに挙げていた。

「そのマッチアップがカギになるだろうな。ジョーカーはAD(デイビスの愛称)をリムから引き離すことができる、まさに本物の男だ。
  ジョーカーの優れた部分は、コート中を動き回れることにある。ハイポストにエルボー、ペイントエリア、フリースローラインであろうと、どこにでも動いていける。そこがレイカーズのディフェンスへいくつか問題を引き起こすだろう。とりわけADをどれだけプレーさせるかに関わってくる」

 ナゲッツは万能型ビッグマンのヨキッチと、爆発力と勝負強さを兼備したガードのジャマール・マレーの2人が中心のチーム。彼らの周囲を、2020年にレイカーズで優勝した3&Dのケンテイビアス・コールドウェル・ポープ、208cmの点取り屋マイケル・ポーターJr.、203cmで強靭なフィジカルを誇るアーロン・ゴードンが支え、ベンチにはブルース・ブラウン、新人のクリスチャン・ブラウン、36歳のベテランフォワード、ジェフ・グリーンらがいる。

 大黒柱のヨキッチは、サンズとのシリーズで平均トリプルダブル(34.5点、13.2リバウンド、10.3アシスト)に1.0スティール、1.0ブロックをマークしたほか、フィールドゴール成功率59.4%、3ポイント成功率44.4%、フリースロー成功率85.4%と絶好調。
  28歳のセンターは公称211cm・128kgという屈強な肉体を持つが、柔らかさと狡猾さ、巧さを兼備。今季レギュラーシーズンで12アシスト以上を記録した試合でチームは17戦無敗、プレーオフでも2桁アシストに達した試合では4勝2敗と勝ち越しているほか、サンズとのシリーズ4戦ではレギュラーシーズンも含めてキャリアハイの53得点を奪っている。

「レイカーズとしては、ジョーカーのパッシングゲームか大量得点のどちらかを止めていくことになるだろう。簡単なのは彼からのアシストを抑えること。両方とも止めることなんてできないからな。彼がその両方をやってしまえば負ける。実にシンプルなことだ」

 グリーンがそう語ったように、ヨキッチは今年のプレーオフで40得点以上を2度記録しているものの、チームはいずれも敗北。つまり、ヨキッチが得点を奪うよりも、自由自在にプレーメークしてチームメイトの得点機会を増やした方が、ナゲッツにとっては勝利が近づくと言っていい。
  それでも、グリーンは「いいシリーズになるだろうな」と切り出し、自身の勝敗予想をこう結論づけた。

「デンバーは準備ができている。あのチームは次のステップへ進むべく、しっかりと自分たちのやるべきことをこなし、しっかり観ているさ。だが、俺の考えはレイカーズ、6戦(4勝2敗)でレイカーズだ。ホームの第6戦で決着をつけるさ」
  両チームの今季直接対決の戦績は2勝2敗のイーブンだが、最後に対戦したのは1月9日。その後、レイカーズはトレードで八村塁、ディアンジェロ・ラッセル、ジャレッド・ヴァンダービルトなど新戦力を加え、当時とはまったく違うチームとなっている。

 もちろん、ナゲッツもシーズンを通じてケミストリーを醸成させており、ヨキッチ、マレーという強固な核は3年前のリベンジに燃えていることだろう。

 レイカーズとしてはレブロン&デイビスを中心に戦いつつ、ヨキッチというリーグ最高級のビッグマンをどのようにしてスローダウンさせるかがシリーズ突破のカギを握ることになる。

文●秋山裕之(フリーライター)

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