5月16日(日本時間17日)、NBAのプレーオフはカンファレンス・ファイナルが幕を開け、ウエスタン・カンファレンス1位のデンバー・ナゲッツが本拠地ボール・アリーナで7位のロサンゼルス・レイカーズを132−126で下して先勝した。

 そして翌17日は、イースタン・カンファレンス2位のボストン・セルティックスと8位のマイアミ・ヒートのシリーズがスタートする。両チームがカンファレンス決勝で激突するのは2020、22年に続いてここ4年間で3度目だ。

 セルティックスはジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウン、マーカス・スマート、ヒートはジミー・バトラー、バム・アデバヨがチームの中心で、これは20年当時と変わっていない。

 今年のプレーオフでは、セルティックスがファーストラウンドでアトランタ・ホークスを4勝2敗、カンファレンス・セミファイナルではフィラデルフィア・セブンティシクサーズを4勝3敗で撃破。

 対するヒートは1回戦で第1シードのミルウォーキー・バックスを4勝1敗で倒し、2回戦ではニューヨーク・ニックスを4勝2敗で退け、1999年のニックス以来初となる第8シードからのカンファレンス決勝進出を決めた。

 レギュラーシーズンの対戦成績は2勝2敗の五分。ヒートの2勝はいずれも4点差以内の決着だった。また、両チームは昨年のカンファレンス決勝で第7戦までもつれる激戦を演じている。
  もっとも、『ESPN』のニック・フリーデル記者は、今年はセルティックス優勢と見ているようだ。16日に『NBC Sports Boston』のポッドキャスト番組“The Celtics Talk Podcast”へゲスト出演し、次のように語っていた。

「このシリーズで(ヒートが)制する唯一の方法、それはどの試合でも誰かが主役になることだと思う。2試合はジミー・バトラーで、あとは『第5戦のバムはすごかったな』って感じさ。マイアミにとってはそれが現実なのさ」

 フリーデル記者はヒートにとっては苦しい戦いになると分析。ちなみに『ESPN』の予想ではセルティックスがシリーズを勝ち上がる確率は97%、ヒートはわずか3%だった。

「ボストンは(選手層が)すごく厚い。あそこにはテイタムがいる。彼らはどんな相手でもスイッチできるんだ。それがこのシリーズで重要な部分になる。彼らが一丸となって取り組んだ時のディフェンスは本当にすごい。それはフィリー(シクサーズ)とのシリーズ終盤でも見てきた。彼らがどこであろうとスイッチした場合、相手チームは多くのオプションがなくなるんだ」とフリーデル記者は指摘する。
  セルティックスにはテイタム、ブラウンという2人のスコアラーがいるほか、スマート、アル・ホーフォードというベテラン、デリック・ホワイト、マルコム・ブログドン、ロバート・ウィリアムズ三世、グラント・ウィリアムズと脇役陣も充実している。

 一方のヒートはバトラーとアデバヨのほか、ゲイブ・ヴィンセントやマックス・ストゥルース、カイル・ラウリー、ケイレブ・マーティン、ケビン・ラブ、ダンカン・ロビンソンがいるが、ロスターのバランスや選手層、経験でセルティックスに分があると言えるだろう。

 ただNBAのプレーオフは、どちらかのチームが4勝するまで続く。仮に初戦でホームのセルティックスが圧勝したとしても、闘将バトラーを軸に驚異の粘りで勝ち上がってきたヒートが簡単に崩れるとは考えにくい。
  続いてフリーデル記者は両チームの指揮官をポイントに挙げた。セルティックスのジョー・マズーラHC(ヘッドコーチ)が就任1年目なのに対し、ヒートのエリック・スポールストラHCは就任15シーズン目で、プレーオフではNBA歴代5位の104勝(68敗/勝率60.5%)をあげており、経験値で大きな差がある。

「私がためらうことがあるとすれば、スポールストラだろう。彼は本当に素晴らしいコーチで、試合中の適応力は実に見事だ。対するマズーラは初めて経験していくことになる」

 開幕前の下馬評ではセルティックス優勢だが、試合巧者ヒートには試合中の修正力に長けた知将がおり、それに対応できる選手たちもいる。今年のシリーズも長期戦になるかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)

第7戦史上最多の51得点を叩き出したテイタム。前戦の大不振からバウンスバックし「僕は負けず嫌い。この機会が大好きなんだ」<DUNKSHOOT>

「まるでマジックとウォージー」レブロンから八村塁の豪快ダンクにファン熱狂!日本人初のカンファレンス決勝へ<DUNKSHOOT>