現地3月26日、ジョージア・サッカー界の歴史が動いた。EURO2024プレーオフ・トーナメント、パスCの決勝でギリシャ代表をPK戦で下したジョージア代表が、史上初めてEURO本大会出場を決めたのだ。欧州サッカー界でほぼ無名の存在だったジョージアが、なぜ他国を押し退けてEURO本大会の切符を手にできたのか。その背景をUEFA(欧州サッカー連盟)がレポートした。
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「ジョージアがEURO2024の予選を突破し、初めて本大会に進出した。多くのファンにとって、これはビッグサプライズかもしれない。しかしジョージアのサッカーを気にかけてきた人なら、主要トーナメントへの出場は時間の問題だったと理解しているだろう」

 UEFAによると、ジョージアのメジャー大会初出場は、野心的なGFF(ジョージア・サッカー連盟)の意思、計画、発展の集大成だった。2017年にはUー19欧州選手権を自国で開催。惜しくもグループリーグで敗退したが、最終戦には2万5154人の観衆を集めた。23年にはUー21欧州選手権をルーマニアと共催。初めて決勝トーナメントに進出したこともあり、総観客動員数は大会史上最多の31万6023人を記録した。

 加えて、Uー17、Uー19代表もUEFAの年代別トーナメントでエリートラウンドに進んだ。若い力が快進撃を見せるなど、ジョージア・サッカー全体が着実に進歩。もとから高かった国内のサッカー人気が、さらなる熱気を帯びた。人口約370万人のジョージアで、国内のサッカー登録者数が15年の1万4676人から、21年には3万7600人に増加。女子選手も6年で10倍以上に増えているという。

 背景にはGFFの地道な強化策があった。GFFは「UEFA Grow」という成長戦略サポートを活用して、サッカーのより良いイメージの構築から収益の増加に至るまで、持続的に運営できる体制を構築。サッカーに関わるさまざまな分野を戦略的に強化し、その後のフォローアップも受けている。国内のサッカー熱の高まりはその賜物だ。
  また、UEFAが収益を分配する「UEFAハットトリック・プログラム」を利用して、グラウンドをはじめとした施設を充実させたほか、スタジアムの建設や改修、国内各地にトレーニング場を整備。14年には国立サッカーアカデミーを設立した。UEFAのフォローを受けてインフラや人材育成面を改善した結果、さまざまなカテゴリーの選手を強化できたという。

 実際にA代表は、22ー23UEFAネーションズリーグのリーグCでグループ1位(2位=ブルガリア、3位=北マケドニア、4位=ジブラルタル)となり、24ー25シーズンからリーグBに昇格。イングランドやオーストリア、チェコ、ウェールズ、ウクライナなど、リーグBではさらに高いレベルの相手と定期的に試合をする機会を手にしている。

 そして26日には、GFFが着手してきた強化策の集大成とも言えるEURO初出場を成し遂げた。その歴史的快挙は決して偶然ではなかった。

「EURO2024の出場権獲得は、これまでの旅路を立ち止まって振り返るに相応しい瞬間だ。しかし、今夏のEURO以降、ジョージアがさらなるマイルストーンを達成しても不思議ではない」

 UEFAがこう記事をまとめたように、EURO2024以降もあらゆる年代のジョージア代表が大きな話題を提供するかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部

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