男子テニス世界ランク2位のカルロス・アルカラス(スペイン/20歳)は、以前からNBAスターへの憧れを口にしてきたことで知られる。マスターズ1000大会「マイアミ・オープン」(3月20日〜31日)に出場した彼は、4回戦でロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/同24位)を下した後、マイアミ・ヒート対ゴールデンステイト・ウォリアーズ戦の会場に駆けつけ、ビッグプレーヤーたちから様々な刺激を受けたようだ。ウォリアーズの試合といえば、つい最近ノバク・ジョコビッチやロジャー・フェデラーも訪問し話題となった。

 到着したアリーナでウォリアーズのステフィン・カリーやクリス・ポールと記念撮影したアルカラスだったが、実は観戦はなかなか困難なものだった。なぜならこの日、ムゼッティとの試合を終えた時点で、すでにヒート対ウォリアーズ戦は始まっており、アルカラスには記者会見やクールダウンなどやるべきことが残っていたからだ。しかし、それらをきっちりとこなした彼は、マイアミOP会場のハードロック・スタジアムからヒート本拠地のカセヤ・センターまで南へ約23キロ、車で20分ほどの道を急ぎ、何とか間に合わせた。

 そこまでアルカラスを駆り立てたのは、やはりバスケット界の特別な選手たち。ヒートのジミー・バトラーもその1人だ。ATP公式サイトにテニス界の若きスターのコメントが紹介されている。
 「ラッキーにも偉大なアスリートやセレブに会えて、本当に驚かされ続けている。自分がそのような有名人の1人だなんて、いまだに信じられない。でも最近、本当に会いたかったパウ・ガソル(スペイン人のNBAレジェンド)にラスベガスで会ったんだ。ジミー・バトラーもそうだけど、この2人との出会いは僕にとって最も特別だね」

 34歳のタフガイ、バトラーは、この試合の前日にはハードロック・スタジアムを訪れ、アルカラスのプレーを観戦。もっと遡れば、昨年の全米オープン開幕前、アルカラスが参加したエキジビション「スターズ・オブ・ザ・オープン」でボールパーソンを担当。さらにアルカラスの対戦相手だったティアフォーに代わって、数ポイントラリーを繰り広げていた。バトラーとたびたび接点を持ってきたアルカラスはこう語っている。

「(パウ・ガソルとバトラーの)2人を尊敬しているのは、その勝者のメンタリティであり、プロ意識であり、日々向上し、より良い選手になるために細部にまでこだわっているから。でも何より、コートを離れても素晴らしい人間であることがすごいと思う。それは僕にとって、勝者のメンタリティを持つことと同じように重要なこと。賞賛されるべきことだし、彼らから学ぼうとしていることなんだ」

 試合観戦の翌々日のマイアミOP準々決勝で、アルカラスはグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア/同12位)に2-6、4-6のストレートで敗れ、3年連続3度目のベスト4進出は逃してしまった。しかし、20歳の若さで得たコート外での交流機会は、今後の長いキャリアにとってきっと大きな意味を持つはずだ。

構成●スマッシュ編集部

【画像】アルカラスが自身のSNSに投降したクリス・ポール、ステフィン・カリーとの記念写真

【連続写真】タメを作ってダウンザラインに叩いたアルカラスのフォアハンド「30コマの超連続写真」

【PHOTO】優勝したアルカラスをはじめ、ウインブルドン2023で熱戦を繰り広げた男子選手たちの厳選写真!