現地時間3月29日、デンバー・ナゲッツはホームのボール・アリーナでミネソタ・ティンバーウルブズとのウエスタン・カンファレンス頂上決戦に臨むも、相手の堅守の前に98−111で敗れた。

 ウルブズがアンソニー・エドワーズ(25得点、5アシスト、3スティール)、マイク・コンリー(23得点、8アシスト)、ルディ・ゴベア(21得点、12リバウンド、3ブロック)とバランス良く活躍したのに対し、ナゲッツはニコラ・ヨキッチがゲームハイの32得点に10リバウンド、5アシストを残すも、ほかに15得点以上を奪った選手はおらず、フィールドゴール成功率39.8%(35/88)と不発。

 昨季王者はオールスターブレイク後に6連勝スタートで波に乗り、ウエストでベストの15勝4敗(勝率78.9%)を記録したものの、ここ4戦だけを見れば2勝2敗の五分。27日のフェニックス・サンズ戦に続き、球宴後初の2連敗を喫した。
  とはいえ、30日時点でナゲッツはウエスト3位の51勝23敗(勝率68.9%)。首位で並ぶウルブズ、オクラホマシティ・サンダー(ともに51勝22敗/勝率69.9%)とは0.5ゲーム差と、再びトップに浮上する可能性は十分残されている。

 ただし、チームが完全体となるためにはジャマール・マレーの復帰が絶対条件。今季平均20.9点、4.1リバウンド、6.7アシストに3ポイント成功率41.9%(平均2.4本成功)を残す27歳は、左足首捻挫と右ヒザの腫れのため4戦連続で欠場中。その間チームは下位に低迷するポートランド・トレイルブレイザーズとメンフィス・グリズリーズに勝利した一方、前述の通り上位陣には勝ち切れずにいる。

 ヨキッチに次ぐ第2の得点源で、クラッチプレーヤーとしても定評のあるエースガードについて、マイケル・マローンHC(ヘッドコーチ)は「我々が必要としているレベルで競い合う状態には達していない」と語っていたことから、もうしばらく欠場は続く見込み。「プレーオフが始まる前にはコートに戻ってくると思う」と、4月上旬〜中旬の復帰を目指しているようだ。 昨季の初優勝に大きく貢献したマレーは、プレーオフで平均26.1点、5.7リバウンド、7.1アシスト、1.50スティールに3ポイント成功率39.6%(平均3.0本成功)と大暴れ。なかでもロサンゼルス・レイカーズとのカンファレンス・ファイナルではシリーズトップの平均32.5点に6.3リバウンド、5.3アシストの大活躍でスウィープ決着の立役者となっただけに、この男が健康体を取り戻して復帰できるかが2連覇に向けたキーポイントとなるだろう。

 なお、マレーは昨夏の「FIBAワールドカップ2023」の出場を辞退。カナダ代表はジョルディ・フェルナンデスHC(サクラメント・キングスAC)の下、シェイ・ギルジャス・アレキサンダー(サンダー)やRJ・バレット(トロント・ラプターズ)、ディロン・ブルックス(ヒューストン・ロケッツ)らを送り込んで3位に入る快進撃を見せ、同国史上初のメダル獲得を果たした。

 すでにパリ五輪出場も決めており、今月19日の組み合わせ抽選会でFIBAランキング7位のカナダはオーストラリア(同5位)と同じグループAに入った。残り2チームはギリシャ、スペインで開催されるオリンピック世界最終予選(OQT)の勝者が入ることになる。
  30日に『EuroHoops.net』に公開された記事の中で、マレーは「楽しみだね」と夏のビッグイベントへの意欲を覗かせている。

「僕らは素晴らしいチームで、(W杯で)メダルを勝ち獲ったのは最高だったよ。この夏も自分たちらしく戦い、金メダルを勝ち獲れたらいいね。自分たちのグループを見てワクワクしている。このチームには過小評価されている選手がたくさんいる。試合にインパクトを与えることができるのに、あまり注目されていない連中がいるのさ」

 ギルジャス・アレキサンダーやバレット、ブルックスだけでなく、ケリー・オリニク(ラプターズ)、ニキール・アレキサンダー・ウォーカー(ウルブズ)、ルージェンツ・ドート(サンダー)、ドワイト・パウエル(ダラス・マーベリックス)といった現役NBA選手を多数揃えているカナダ。

 ここにマレーが加わるのであれば、有力な優勝候補の一角となって今夏のオリンピックを迎えることができるのではないだろうか。

文●秋山裕之(フリーライター)

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