現地時間4月12日のサクラメント・キングス戦に108−107で競り勝ち、ウエスタン・カンファレンス7位の48勝33敗(勝率59.3%)としたフェニックス・サンズ。

 レギュラーシーズン最終戦を前に、プレーオフへストレートインできる6位のニューオリンズ・ペリカンズ(49勝32敗/勝率60.5%)とは1.0ゲーム差。14日のミネソタ・ティンバーウルブズ戦に勝利し、ペリカンズが敗れて勝率が並んだ場合のみ、直接対決で2勝1敗と上回っているサンズが6位のポジションを獲得できる。

 今季のサンズはフランク・ヴォーゲルHC(ヘッドコーチ)の下、ケビン・デュラント、デビン・ブッカー、ブラッドリー・ビールのビッグ3体制初年度。ロスターにはユスフ・ヌルキッチとドリュー・ユーバンクスという2人のセンターがいるとはいえ、グレイソン・アレンやエリック・ゴードン、ロイス・オニールといったウイング陣中心のスモールラインナップで戦う時間帯が少なくない。

 そこで重要な役割をこなしているのがデュラントだ。35歳のベテランフォワードは、チームトップの平均37.2分をプレーし、リーグ5位の27.3点、6.6リバウンド、5.1アシストに加えて、チーム最多の1.22ブロックを記録している。

 これまでのキャリア15年間でオールディフェンシブチームに選ばれたことは一度もないデュラントだが、指揮官は「彼は間違いなく(オールディフェンシブチームの)1stか2nd入りすべきだと思う」と、守備面の働きを称えている。
  ヴォーゲルHCは「彼はリーグでベストな相手からガードされている。クラッチタイムだけじゃない。48分間ずっとだ。それでも毎晩素晴らしい仕事をしてくれている」とオフェンス面の仕事ぶりを称賛しつつ、守備における貢献の大きさを次のように語った。

「我々がスモールラインナップでプレーしている時、彼は最も大きな相手と対峙している。スモールボールではセンターをこなし、サイズ面から相手のセンターを守っているんだ。彼はチームのために、本当にすべてのことをこなしてくれているよ」

 今季のデュラントはここまで74試合に出場。アキレス腱断裂から復帰した2020−21シーズン以降では最多で、まさに攻守両面でサンズを支えている。

 デュラントとともにチームを引っ張るブッカーも「まさに何をやらせても上手いんだ。6フィート11インチ(211cm)が小柄なガードにスイッチしつつ、スモールボールの布陣では相手の5番(センター)もカバーしてしまう。彼のレプリカを作り出すことなんてできないよ」と絶賛していた。

 オールディフェンシブチームは毎年リーグ全体から10人しか選ばれない狭き門。デュラントが初選出を果たせるかは微妙なところだが、本人もあくまでチームの勝利に貢献することにフォーカスしている。「俺にとって本当に重要なのはチームメイトたち、コーチ陣から信頼を得ることにある」と語っており、その信頼は十二分に得ていると言っていいだろう。

 サンズで初のフルシーズンをプレーするデュラントが、ポストシーズンでどんなパフォーマンスを見せるのか。持ち前の得点力はもちろん、その守備力も見逃せない。

文●秋山裕之(フリーライター)