窪塚愛流と蒔田彩珠がW主演を務める映画「ハピネス」が、5月17日(金)より全国公開される。東京・ニッショーホールにて行われた本作の完成披露試写会舞台挨拶に、窪塚、蒔田、橋本愛、山崎まさよし、篠原哲雄監督が登壇した。

■「ハピネス」あらすじ

心臓の病気のため、医者から“余命1週間”と告げられた高校2年生の由茉(蒔田)と、余命1週間という事実に戸惑いながらも、彼女との幸せな日々に寄り添う決意をする恋人・雪夫(窪塚)。

逃れられない運命に対する絶望や動揺・怒り・悲しみなど、すべての感情を抱え込んだ上で、慎重に生きることよりも、残りの人生を笑顔で、幸せに過ごすことを選んだ2人。

残り少ない日々を命の限り輝かせようとする少女と、そんな彼女の夢を全力で支えようと奔走する少年が繰り広げる、純度100%のラブストーリー。

■演者それぞれが語る「見どころ」シーン

拍手喝采の観客席に迎えられ、満席の観客の歓声を前に窪塚は「撮影時19歳の僕が、全てを注ぎ込んだ作品です。ようやく皆さまに届けられてうれしい」と感慨深げな表情を見せ、蒔田も「『ハピネス』を皆さまにやっと観ていただけると思うと、とてもうれしい」と観客席を見渡した。

作品について橋本は「もともと嶽本野ばらさんの原作が大好きで、とても思い入れのある作品。雪夫たちの背中を押す気持ちで演じました」と出演の喜びを語り笑顔をみせた。山崎は「娘がいるので感情移入がすごかったし、撮影の時に涙が止まらなかった」と作品の魅力を語った。

本作の見どころを聞かれた窪塚は「全部です!」と答えつつ、公園デートのシーンを挙げ、「由茉と雪夫が普段過ごしている姿が見ることができる、良いシーン」と語った。蒔田は「劇中のロリータファッションや食べ物、ストーリーはもちろんですが、そういった設定も楽しんでほしい」とおすすめした。

橋本は「由茉ちゃんが、これまで勇気がでなくて挑戦できなかったロリータファッションに挑戦する心の強さが美しいなと思った。彼女と一緒に雪夫くんも同じテイストのファッションを着るのですが、その2人の姿がかわいくて眼福でした」と雪夫と由茉の姿を注目ポイントに選んだ。

山崎は「吉田羊さんと夫婦役だったのですが、父親役が初めてだったので、ぜひ注目してください!」と新しい挑戦について語った。監督は「静かな映画ですが、キャスト皆さんそれぞれの役で感情のピークになるポイントがあるが、人それぞれ表現の仕方が違う。それぞれの俳優さんのピークを見つけてほしい」と役者個人のアプローチの違いや素晴らしさをアピールした。

■食事シーンのリハーサルについて

撮影を振り返ってのエピソードについて窪塚は「普通、リハーサルの時に食事をしないことが多いが、篠原監督は食べて食べて!と言っていたので実際に食べていました。なので、本番が始まるころにはお腹一杯だったのが印象的」と明かすと、蒔田も同意し、「カレーのシーンでいうと、ロリータファッションは結構しめつけるので、撮影の際座ったり立ったりが厳しかったのが思い出に残っています」と撮影中の思い出を披露した。

これを受けて、本番前の食事シーンについて山崎は「僕は本番前に食べるのを避けていたが、みんな若いってことだ!」と驚いていると、監督は「なんでも本当にやったほうがいい。嘘に見えるといやでしょ?」と、観客席に向かって笑顔で語りかけていた。

■「悲しめるって幸せだよなと」と語る橋本愛

本作にかけた思いを聞かれ窪塚は「生活の中で、由茉のことをとにかく考えて撮影に挑んでいた。自分のことよりもとにかく由茉のことを考えぬいて作品に向き合ううちに、自分のことよりも人のことについて考えることが大事だと気付きました」と話すと、蒔田も大きく共感していた。

続いて、「雪夫と由茉のように、自分の人生を変えるような奇跡の出会いの経験はありますか?」と聞かれ山崎は、「レコード会社のオーディション。そこにいたスタッフと最終選考に残り、出会えたことが奇跡でした」と歌手としての経験を語った。

篠原監督は「出会う人によって運命や何かが開けることがある。僕の長編デビュー作の主役が、山崎まさよしさん。山ちゃんと出会えたことが奇跡だし、この映画も奇跡だと思う」と山崎との奇跡の出会いを懐かしんだ。

橋本は「最近はじめて近しい人が亡くなった経験をして、悲しくてしょうがないんですが、悲しめるって幸せだよなと思いました。心はまだ追いつかないけれど、これだけ悲しいくらい大切な人がいる人生って絶対に幸せだよなと思っています。映画の由茉ちゃんと雪夫くんの気持ちもすごく実感を伴って考えました」と、本作で月子が雪夫に語った言葉に通じる奇跡の出会いについて話してくれた。

蒔田は、「ペットショップで出会った猫。唯一無二の存在です」と愛猫について愛おしそうに語り、窪塚は「14歳の時に妹が生まれたんです。妹からの手紙を財布に入れていつも元気をもらっています。『ハピネス』を見て蒔田さんに嫉妬したようです」と明かし、妹からもらった手紙には、「“アル(愛流)にふさわしいのは私”って書かれていました」とエピソードを披露し、会場を沸かせていた。

最後に、蒔田は「音楽やファッションだったり、暗いことだけではなく素敵なことがいっぱい詰まっている。死に向き合うよりは、生きることと向き合える映画だと思う。この作品を観て、生きることと向き合ってほしい」と作品のメッセージを語り、窪塚は「タイトルと内容に矛盾があるなと最初は思っていたけれど、演じていく中で、そうではないことに気付けた作品。いろんな人に観てもらい、それぞれのハピネスをみつけてもらいたい」と締めくくり、大きな拍手の中、舞台挨拶は終了した。