韓国のスパイコメディードラマ「シークレット・ファミリー」でチャン・ヒョクと共に主演を務めるチャン・ナラ。相手役チャン・ヒョクとは、高視聴率ドラマでタッグを組んできた黄金コンビで、今作でも家族のために奮闘するチャーミングな主婦を演じている。2023年に満42歳とは思えない透明感に加え、演技者としてもコメディーにアクションに幅広い対応力を見せる俳優チャン・ナラとは?

■アジア圏のトップスターに駆け上がった20代

1981年に生まれ、父は俳優チュ・ホソン、兄はタレントのチャン・ソンウォンという芸能一家で育ったナラ。2001年にドラマ「ニュー・ノンストップ」で俳優デビューを果たすと、同年に1stアルバム『First Story』をリリースし、歌手としても活動をスタートさせた。

2002年にはチャン・ヒョクとの最初の共演作「明朗少女成功記」が最高視聴率42.6%を記録する大ヒットとなり、たちまち韓国芸能界のトップスターに。元祖“国民の妹”として絶大な人気を誇った。

2004年からは中国へも進出。2006年に時代劇ドラマで大ブレークしたのをはじめ主演ドラマが次々と作られ、歌手としても2012年までに4枚の中国語アルバムをリリース。中国で開催されている「2004〜2005年度・アジア太平洋ミュージックアワード」で、アジア最高女性歌手賞と特別功労賞の韓中文化交流貢献賞を受賞するなど、瞬く間にトップスターへと駆け上がった。2008年の「北京オリンピック」で中国側から指名され聖火ランナーを務めたことからも、中国での人気ぶりが伺える。

■30代は“ラブコメ女王”として活躍

30代に入ると、主に俳優として韓国のドラマや映画でヒット作を量産するように。2013年、スターの登竜門として注目度の高い「学校シリーズ」の「ゆれながら咲く花〜学校2013〜」に出演。当時19歳のイ・ジョンソクが生徒役で主演したこの作品で教師役を務め、ドラマに華を添えた。

翌2014年には、ドラマ「運命のように君を愛してる」で12年ぶりにチャン・ヒョクと再共演。平凡女子と御曹司の恋模様を演じて中毒者を続出させると、その後も「もう一度ハッピーエンディング」(2016年)や「ゴー・バック夫婦」(2017年)などラブコメ作品に立て続けに出演。安定感ある演技で“ラブコメの女王”と呼ばれ、人気を博した。

「皇后の品格」(2018年)では、架空の王室を舞台にある日突然皇后になってしまった女性をチャーミングに好演。韓服姿の凛とした美しさで話題を集めただけでなく、シンデレラストーリーから一転、王室と戦うことになる波乱万丈のキャラクターを熱演し、「2018 SBS演技大賞」最優秀演技賞を受賞した。

プライベートでは、6歳年下の一般男性と2022年に結婚。SNSでは幸せそうな私生活も時折披露している。


■チャン・ヒョクも信頼「僕とナラさんはピッチャーとキャッチャー」

デビューから20年以上にわたり、トップランナーとして活躍し続けてきたチャン・ナラ。愛くるしいルックスは若い頃から変わらず、今も驚くべき透明感と確かな演技力でドラマファンを魅了し続けている。

「シークレット・ファミリー」で演じる主婦ユラは、賢くて家族思いのしっかり者。たびたび家族イベントをすっぽかす夫・ドフン(チャン・ヒョク)を叱り飛ばしつつもいざとなればしっかり支え、義父や義弟夫婦をまるで本当の家族のように大切に思っている。

誰もが応援せずにはいられない親しみの持てるキャラクター。だがストーリーが進むと、ドフンさえも知らなかったユラの驚くべき秘密が明らかに。起承転結の“転”を担う重要な役回りを、しっかりと務めている。

ドラマ公式インタビューでは、何度も共に高視聴率ドラマを作り上げてきた“黄金コンビ”の相方・ヒョクが「僕とナラさんを例えるなら、ピッチャーとキャッチャー。僕が投げたボールを上手に受け止めてくれるので、投げやすいんです」と話すなど、全幅の信頼を寄せている様子がうかがえる。

「シークレット・ファミリー」は、日本ではディズニープラスのスターで配信中。5月23日には最終話となる第12話が配信された。ストーリー終盤に女性主人公・ユラが見せた驚くべき“もう一つの顔”を演技巧者のナラが体現。まさに絶品としか言いようがない演技だった。

◆文=ザテレビジョンドラマ部