テレビアニメ「ダンジョン飯」(毎週木曜夜10:30-ほか、TOKYO MXほか/ABEMA・ディズニープラス・Huluほかで配信)の第6話「宮廷料理/塩茹で」が2月8日に放送された。今話では迷宮化する前の黄金城の様子が少しだけ判明。そこで一体何があったのか。物語は次第に謎を呼ぶ展開になってきた。また、後半ではミミックが登場し、斬新な新解釈が視聴者の注目を集めた。(以下、ネタバレが含まれます)

■ライオスの食い意地は生ける絵画もターゲットに

冒険者たちに金剥ぎされ今は見る影もないが、ライオス(CV.熊谷健太郎)たちが探索するこの迷宮は、発見された当時は外観が金箔で彩られる黄金城だったという。王国は狂乱の魔術師に囚われたことで迷宮化したらしいが、そのときにどんな事件があったのかは分かっていない。今話ではライオスの食い意地によって、王国が栄えていた過去の様子を少しだけ垣間見ることができた。

朝から宝虫のお菓子しか食べていないことで、空腹になりはじめたライオスは絵の中の食べ物を食べようと、生ける絵画の中に自分から飛び込むことを思いつく。もれなく全員から突っ込みを受けていたが、「絵に描いた餅は食えないが 絵に描いた餅を食う人の絵なら破綻はない!」と、とんでもない理屈をこねるライオス。呆れるチルチャック(CV.泊明日菜)たちをよそに、品定めした絵に飛び込んでいく。

無事、絵の中に入り込んだライオスだが、ここで彼が見た光景はとても不思議なものだった。1つ目の絵は、国王らしき人物が、赤子に“デルガル”と名付けをする場面。生ける絵画だからだろうか、絵の中には時間が流れ、人々が普通に生きていたのだ。

■過去の黄金城で起こった王の毒殺事件

2つ目の絵は、城外の広場で行われていた宴の場面。先ほどの絵から10数年後のものなのか、ここでライオスはデルガルと名乗る青年に出会う。無礼講で賑やかな宴の場だったが、ライオスが料理を食べようとした瞬間、ワインを飲んだ国王が血を吐いて倒れてしまう。

3つ目の絵はちょうどライオスたちが入り込んだ大食堂の場だろうか。今は王子デルガルの戴冠式が行われていた。どうやら先ほど目撃した事件で王は崩御し、王子が王座を継いだらしい。そんな厳かな場に紛れ込み、「うまい…!!」と宮廷料理のフルコースを堪能するライオス。しかし、満腹になり帰ろうと思った矢先、1人のダークエルフに見咎められ、危うく消し炭にされかける。命からがらに脱出したライオスだったが、結局、絵の中で手に入れた食べ物は外に出れば全て消え、満腹感も消えてしまうという時間を浪費しただけの有様であった。

ただ、ライオスが見た光景は、過去の王国を知る上でとても興味深いものだった。国王は何者に毒殺されたのか。あのダークエルフは何者だったのか。前話でカブルーが口にしていた迷宮の変化というのも気にかかる。迷宮の謎は、ここからの彼らの冒険にどう影響してくるのだろうか。

■見事なオチに繋がるミミックの新解釈

今話ではもう1つ、チルチャックとミミックにまつわるエピソードが語られた。RPGファンにお馴染みのミミックは、宝箱などに擬態して財宝狙いの冒険者を襲う捕食型の魔物だ。鍵開け師の天敵で、チルチャックも駆け出しの頃には何度も失敗して辛酸を飲まされていた。そんなミミックの意外な生態がここで明らかに。

「ミミックはひっくり返すとばたばたして可愛いよ」「ひっくり返すとオスかメスかわかるよ……」と、ミミックに追われるチルチャックの脳裏に、ライオスのどうでもいい雑学が走馬灯のように浮かんでいく。たぶん、魔物が大好きなライオスは興味津々でちょっかいを出してみたのだろう。あまりにもアホな光景が目に浮かぶようだ。

受難を乗り越え、なんとかミミックを仕留めたチルチャック。その正体は巨大なヤシガニのような魔物で、立派な大物だった。たぶんファンタジーものを遡っても、ミミックを箱から引きずり出したのは「ダンジョン飯」が初めてなのではないだろうか。

そして、やっぱり調理されるミミック。カニと同じ甲殻類ということで、塩茹でが抜群にうまいが、ヤドカリ科なのでミソはまずいらしい。最後には宝虫とミミックの関係も明かされて、宝虫が詰まった財宝箱が出来上がる仕組みにつながる見事なオチとなっていた。

このミミックの新解釈は視聴者にも新鮮だったようで、放送後には「魔物生態の作りがホントに上手」「人を捕食するミミックの天敵は宝虫。食物連鎖の考え方が実に上手い」「走るミミックが絶妙に可愛く見えるw「一気にミミックが好きになった!」といった感想が多数集まることに。また、前半エピソードへの注目も多く、「絵画で描かれた風景は今後の伏線かな?」「絵の中にいたエルフは宮廷魔術師か何かな。少年だけどエルフは年齢不詳だ」「宮廷料理と言っても微妙な質素感。時代のリアリティーを感じる」などのコメントが寄せられていた。

■<今週のレシピ>※原作より

茹でミミック(4人分):
ミミックの上半身――1匹分
はさみ――1対
腕――4本
塩――たっぷり

■文/鈴木康道