前田拳太郎と奥智哉がW主演を務めるドラマ「君とゆきて咲く〜新選組青春録〜」(毎週水曜夜0:15-0:45、テレビ朝日※関東ローカル)の第3話が5月8日に放送された。壬生浪士組に希望を託してまっすぐな瞳で語る丘十郎(奥)に大作(前田)が意地悪な質問をして、丘十郎の口もとをぬぐってやる様子にドキドキとさせられた。(以下、作品のネタバレを含みます)

■「君とゆきて咲く〜新選組青春録〜」とは

本作は、史実を織り交ぜながら隊士たちの葛藤を描いた、手塚治虫氏の隠れた名作「新選組」を原作とした“シン・時代劇ドラマ”。幕末の時代を生き、はかなく散っていった新選組隊士たちの青春群像劇を、殺陣パフォーマンスや剣舞を取り入れた新たなスタイルで描く。

近藤勇や沖田総司、芹沢鴨など、新選組メンバーを中心に実在の人物も登場するが、物語の中心となるのは、オリジナルキャラクターとして描かれる深草丘十郎、鎌切大作という若き二人の隊士。二人は熱い友情を育んでいくものの、いつしか時代の波に翻弄(ほんろう)され、互いに殺し合わなくてはならない悲壮な運命へとなだれ込んでいく。

物語の主人公となる大作と丘十郎を演じるのは、前田拳太郎と奥智哉。「仮面ライダーリバイス」(2021年〜2022年、テレビ朝日系)で共演経験のある二人が、本作では熱い友情で結ばれた新選組の若き隊士を演じる。

また、二人を取り巻く新選組隊士には、杢代和人(原因は自分にある。)、羽谷勝太、柊太朗、庄司浩平、簡秀吉、藤岡真威人、阪本奨悟、永田崇人、三浦涼介、高野洸ら、舞台から音楽、SNSまでさまざまなステージで活躍する若手キャストが集結。なかでも、「人生が変わる、シン・時代劇オーディション『真剣 SHINKEN』〜新選組への道〜」と題したオーディションで南無之介役を勝ち取った羽谷のほか、ともに最終審査を戦った柊太朗、庄司、上野凱らがどんな躍動を見せるのかも注目される。


■大作たちは町中でならず者たちに囲まれていた若者を助ける

文久3(1863)年の京都。お人好しの父・七也(戸次重幸)が営む小さな茶屋で働く深草丘十郎(奥智哉)は、慎ましくも誠実に日々を生きていた。ところがある夜、店に逃げ込んできた佐幕派藩士をかくまった七也が、長州藩士の庄内玄悟(上野凱)に斬り殺されてしまい、その穏やかな日常が一変。丘十郎は父の敵討ちを心に誓い、強くなるため壬生浪士組に入隊する。

ある日、大作(前田拳太郎)、丘十郎、南無之介(羽谷勝太)の3人は、町中でならず者たちに囲まれていた若者を助ける。その若者は、南無之介がかつて仕えていた武家の次男・松永新之丞(杢代和人)だった。新之丞は山南の温情を受け、壬生浪士組の屯所でしばらく養生することを認められる。

■大作「じゃ、敵を打ったあとはどうするの?」

新之丞は、丘十郎から剣使いの稽古を受けることに。しかし、丘十郎が竹刀を振り下ろすと新之丞は体をこわばらせて竹刀を手から離してしまう。南無之介は新之丞を庇い、新之丞は剣の稽古になるといつも勝手に体が逃げてしまうと謝る。

稽古の後、丘十郎が水を飲んでひと息付くと、大作が「きゅうちゃんは優しいな。俺ならこんな面倒には巻き込まれたくない」とこぼす。「壬生浪士組、ここで強くなる。それだけが俺の道を今、照らしている」と丘十郎が返すと、大作は「じゃ、敵を打ったあとはどうするの? 真っ暗な夜の道をひとりゆくのか?」と質問。丘十郎が答えられずに視線を落とすと、「答えは難しいか」と立ち去ろうとする。

丘十郎が「じゃあ聞くが、お前はなに…」と言いかけると、大作は「ごめん、意地悪な質問だった」と言って丘十郎の口元に手をやる。「水、垂れてるよ」と言ってほほ笑み、大作は丘十郎の口もとをぬぐってやるのだった。

まっすぐな丘十郎と彼に意地悪な質問をする大作の関係性にドキドキとさせられた。

◆構成・文=牧島史佳