最後まで諦めない「タフな三河」を証明したゲーム

4月6日・7日に国立代々木競技場第2体育館で行われたアルバルク東京とシーホース三河の第30節。アウェーの三河はGAME1を57-69で勝利、GAME2は65-61で敗れ、地区2位同士の上位対決は1勝1敗という結果に終わった。 GAME1は、リーグ屈指の高さとフィジカルの強さを誇るA東京を相手に、三河は体を張ってペイントエリアを死守。試合後、A東京のデイニアス・アドマイティスHCが「相手のディフェンスがフィジカルで、私たちのオフェンスが少し狂った」と認めるように、三河はハードにプレーし、ロースコアゲームを制した。8得点8アシストを記録した長野誠史を筆頭に、11得点の角野亮伍、7リバウンドのシェーファーアヴィ幸樹など、セカンドユニットの活躍が光ったゲームだった。 GAME2は、序盤からA東京が終始リードする展開に。GAME1同様、三河はハードに守ったが、この日はオフェンスでミスが続いてしまう。3Qに入ると流れは一気にA東京へ。アウェーの雰囲気に飲まれたのか、フリースローを4本連続で外すなど悪い流れが続き、3Q残り4分で20点差、54-34と勝負は決まりかけたように見えた。 しかし、今の三河は簡単に諦めない。前日に続き、ベンチスタートのメンバーがまたもや奮闘する。この場面について長野は振り返る。「HCからテンポを上げるように指示がありました。アテンプトを増やせば攻撃にリズムが生まれる。慎重になり過ぎずスピーディーにやろうと」 怒涛の追い上げの中、コートに立っていたのは新加入のジェイク・レイマンを除くと、残りの4人は長野、角野、シェーファー、そしてダバンテ・ガードナー。前HCの時代からチームを引っ張ってきたメンバーだ。旧知のファンなら胸が熱くなるものがあっただろう。三河は間違いなく成長している。 3Qを54-43で折り返すと、4Qも徐々に差を詰めて、残り1分で63-61のワンポゼッション差に。決めれば同点、3Pシュートなら逆転の場面を迎えたが、果敢にアタックした西田優大のシュートは惜しくも外れてしまう。逆に残り15秒でA東京のテーブス海に決められて、勝敗は決した。 それでも最大20点差から諦めずにカムバック。先にタイムアウトを使い果たしたのがA東京だったことからも、三河の勢いがどれほど力強いものだったのかが分かる。チームの成長を感じた一戦だった。

長野誠史「苦しい時間帯で我慢し続けること。それができれば必ず勝てる」

三遠ネオフェニックス、宇都宮ブレックス、そしてアルバルク東京。リーグの勝率上位3チームとの連戦が始まる前、ライアン・リッチマンHCは「三河がどんな存在か証明するチャンス」と話していた。結果は1勝4敗で、望んだものを得ることはできなかった。しかし、選手もスタッフも下を向いてはいない。三遠戦は相手のペースとなってしまったが、宇都宮をあと一歩まで追い詰め、A東京とは1勝1敗。三河がCSでも「戦える資格」があることを証明した。 リッチマンHCはこの5戦について「間違いなく正しい方向に進んでいる」と振り返る。「(1勝4敗は)望んでいる結果ではなかったが、三遠さんとの試合を除けば、三河らしさを発揮できた。トップチームと言われる素晴らしい相手に対して、勝つチャンスも十分にあった。ただ、届かなかったのは事実です。学んだことを力にするにはハードワークするしかありません。私たちはまだ土台を作っている最中。何が足りなかったのか精査して、土台を作るための糧にしたい」 長野も言う。「今日は苦しい展開になったが、20点差からカムバックして、一時は2点差に詰め寄ることができた。40分間継続すること、我慢し続けることがこれからの課題。(ミスが出ても)ちょっとのことを我慢すれば展開は変わっていたはず。ディフェンスのコミュニケーションミスを減らし、フリースローなど決めるべきシュートを決める。そして、流れが悪い時間帯で我慢できるチームになれば、どんな相手でも勝てる自信があります」 この2戦で復帰後のベストパフォーマンスを見せたシェーファーも同じ考えだ。「上位チームと大きな差はない。あとちょっと、そこまで、本当にもうそこまで来ています。結果は残念だったが、悲観する必要はない。むしろ自信になりました。シーズン序盤に崩れてしまったゲーム(第7節の渋谷戦)がありましたが、そこから全員が学び、その後はゲームが崩れたことは一度もありません。チームの粘り強さ、タフさは自信を持っていい」 中地区優勝は三遠にほぼ決まった今、三河は中地区2位の座をかけて、サンロッカーズ渋谷、ファイティングイーグルス名古屋、そして川崎ブレイブサンダースと争うことになる。CS進出を決めるために負けられない戦いが始まる。「今シーズン、渋谷さんにも川崎さんにも連敗しています。絶対にリベンジしなきゃいけない」とシェーファー。この5試合で感じた手応えや悔しさが、最後に笑うために必要なプロセスだったと言えるように。激闘の終盤戦がいよいよ始まる。