日本のブライダルファッションの先駆け的存在で、海外でも知られたデザイナーの桂由美さんが4月26日、死去した。94歳だった。多くの有名人のウエディングドレスを手掛け、最期までパワフルに精力的に動いた。

 芸能プロ関係者は「先生は亡くなるギリギリまで仕事の打ち合わせなどをしたそうで、訃報にビックリした人は多い。本当に元気だったそうですから」と話す。

 ウエディングドレスのデザインで特徴的なのが「ユミライン」だった。同関係者は「女性の体のラインがとてもキレイに見えるので、女性タレントにとっても憧れのドレスでした」と語る。

 桂さんについて周囲が口にするのが「パワフル」「精力的」といった言葉だ。

 別の芸能プロ関係者は「とにかく一人で、どこへでも行くイメージです。九州に飛んで打ち合わせをした後、『これから大阪に寄って仕事して、東京に戻って…』とサラリ。聞いているほうがビックリするほどパワフルな印象が強い」と話す。

 ウエディングドレスだけでなく、演歌歌手の水森かおりが「NHK紅白歌合戦」に出場する際の衣装も手掛けた。水森は昨年まで21回連続出場し、そのうち20回が桂さんが手掛けた衣装だった。

 音楽関係者は「先生は歌手のドレス製作はそれほどしなかったですが、歌が好きで水森さんの衣装を喜んで作っていました。水森さんの衣装が巨大になっても、先生はどうやったらキレイに見えるかとこだわったそうです」と言う。

 桂さんは独身の水森に常々話していたことがあった。

「あなたのウエディングドレスは、私が作るからね」

 1930年4月24日生まれ。64年に日本初のブライダルファッションデザイナーとして活動を開始した。第一人者としてパリやニューヨークなど世界各国30以上の都市でショーを行った。

 93年に外務大臣表彰、2019年に文化庁長官表彰をそれぞれ受賞。昨年11月には絹文化の発展に貢献した功績を称え、蚕糸功労者最高賞「恩賜賞」を受賞している。ウエディングドレスで多くの人を幸せにしてきた。