5年ぶりとなる「ハマの主砲」の古巣復帰にDeNAが沸いている。球団は16日午後2時25分(225=ツツゴー)に筒香嘉智外野手(32=ジャイアンツFA)の復帰を発表。指揮官の三浦大輔監督(49)も喜びを口にした。その一方で祝福ムードに包まれるチーム内からは筒香の持つカリスマ性ゆえにある〝不安材料〟も飛び出している。

 巨人やパ・リーグ球団からオファーが舞い込んだ中、筒香が選んだのは古巣だった。球団が復帰を望んで空け続けた背番号「25」のユニホームに、再び袖を通すことになった。

 待ちに待った主砲の帰還を球団側も最大限に盛り上げる。18日午後6時から横浜スタジアムをファンに無料開放し、公開入団会見を行う。3年契約で2年目までは推定3億円。3年目は変動制となる見込みだ。

 現役時代から先輩後輩の間柄だった三浦監督は筒香の復帰決定について「また同じ目標に向かって戦えてうれしい。打撃だけでなく野球への姿勢も含め、いいものをもたらしてくれると思う」と喜んだ。

 だが、一抹の不安材料もあるようだ。DeNAの球団関係者は「ファンの心情を考えれば、他のセ球団に行かれていたら大変だった」と胸をなで下ろす一方で「筒香が2019年オフにポスティングシステムを使ってメジャーに挑戦した後、チームを支えたのは宮崎。選手たちからも慕われていて将来の指導者候補になっている。ただ筒香の野球に対する姿勢や影響力を考えると、慕う若手は自然と増えていくだろう」と指摘した。

 筒香よりも3歳上の宮崎敏郎内野手(35)は、これまで首位打者を2度獲得。佐野や牧が打線の主軸に成長したとはいえ、今も安定した打撃を誇る宮崎は縁の下の力持ち的な存在としてチーム内で重宝され続けている。「ハマのプーさん」として愛されるキャラもストロングポイントだ。

 そんな宮崎を球団側も高く評価しており、21年オフには当時の時点で現役時代の三浦監督以来となる6年契約を提示。同年6月に取得済みだったFA権を行使しないまま推定年俸2億円プラス出来高の長期契約を締結し、現在に至っている。

 言うまでもなく筒香と宮崎はかつて共に主軸を担った〝戦友同士〟であり、何のわだかまりもない。しかしながら筒香が海を渡って4年が経過し、その間に実績を積み重ねた宮崎は将来の幹部候補生と太鼓判を押されているのが現状だ。このタイミングで同じく監督候補と目されるレジェンドの筒香が復帰を果たせば、チーム内のパワーバランスに「何らかの影響を与える可能性は否定できない」と危惧する声も実は少なくない。

 まずは1998年以来となる26年ぶりのリーグVへチーム一丸となることが最優先。水面下で先々を見据える〝監督レース〟の行方も、そのキーポイントとなりそうだ。