連覇を飾ったソングライン

安田記念2023

[GⅠ安田記念=2023年6月4日(日曜)3歳上、東京競馬場・芝1600メートル]

 4日、東京競馬場で行われたGⅠ第73回安田記念(芝1600メートル)は、前年覇者のソングライン(牝5・林)が大外枠から中団につけて直線で差し切り、史上3頭目の連覇を飾った。勝ち時計は1分31秒4(良)。同馬は前走のヴィクトリアマイルに続き東京マイルGⅠを連勝。ハードな攻めに耐え、本格化を迎えたマイル女王が目指す今後は?

 1頭だけ違う脚色であっさりと抜け出してきた。10頭のGⅠ馬が揃った豪華メンバーでも終わってみれば〝1強〟だったと思わせるほどの勝ちっぷり。安田記念連覇はグレード制導入の1984年以降では史上3頭目、アーモンドアイらが成し遂げられなかったヴィクトリアマイルからの連勝もウオッカ以来2頭目となる。2着セリフォスのレーンが「スーパースター」と表現したように、マイルGⅠ3勝目は紛れもない名牝の証しといえるものだろう。

 今回の連覇における最大の勝因は陣営が課した〝攻め〟だ。今年は連覇を狙った1351ターフスプリント(10着)の不可解な敗戦を受け、陣営は厳しい稽古を積むことで心身を鍛える選択をした。その成果が前走のヴィクトリアマイルの快勝につながった。

 そして昨年同様の中2週の厳しいローテでも、その強度を緩めることはなかった。1週前、最終追いとも戸崎圭を背に3頭併せでしっかりと負荷をかけた。中2週でGⅠを連戦する牝馬とは思えぬハードな調教。そんな一段上を目指した攻め馬を積んでもソングラインはへこたれることなく、カイ食いも旺盛だった。「2歳のころは繊細だったが、心身ともに成長してたくましくなりました。今までで一番負荷をかけたが、回復が早かったですね。今日も前走より堂々として落ち着いており、アスリートとしてのすばらしさを感じます」と林調教師も馬自身の芯の強さに最敬礼だ。

「大雨が降った割に内が悪くない馬場で、前が残っていた」と林調教師は馬場状態を心配していたが、強風が吹いたこともあって急速に馬場が回復。結果として近2年を大きく上回る高速決着となった。そこに少しの運はあったかもしれないが、勝敗の肝はそこではないことは1馬身1/4という着差が示していよう。

 オーナーサイドは米BCマイルを目標にすると明かしており、昨年かなわなかった米国進出を目指す。「昨年はサウジの1351ターフスプリントを勝っており、海外の適性はあると思います」と林師。本格化を迎えた日本のマイル女王が米国でどんな走りを見せるのか今から楽しみだ。

著者:東スポ競馬編集部