ジャンタルマンタル(右)とアスコリピチェーノが激突も…
ジャンタルマンタル(右)とアスコリピチェーノが激突も…

NHKマイルカップ2024

[GⅠNHKマイルカップ=2024年5月5日(日曜)3歳、東京競馬場・芝1600メートル]

 NHKマイルCの創設は1996年。ダービートライアルとして行われていた旧・NHK杯(芝2000メートル)を廃止し、3歳マイル王決定戦として装いを新たにした。その背景には当時、クラシックに出走権がなかった外国産馬の存在がある。〝ジャパンマネー〟によって買いあさられた〝外車〟は古馬の大レースを席巻していた。

 その受け皿の役割を担った当レースは6年連続で外国産馬が勝利。その中には種牡馬としても日本競馬において重要な役割を果たした98年エルコンドルパサー、2001年クロフネも含まれる。しかし、経済状況の変化とクラシック開放により立ち位置も変化。02年以降で外国産馬の勝利は21年シュネルマイスターの1回のみ。今年は1頭の外国産馬の登録があるが果たして…。

 注目は牡牝の2歳チャンピオンが揃って参戦すること。パレスマリス産駒の持ち込み馬ジャンタルマンタル(牡・高野)は前走・GⅠ皐月賞で積極的なレース運びから3着粘走と改めて高いポテンシャルを誇示した。GⅠ朝日杯FSも含め2戦2勝と負けなしのマイルに距離が戻れば主役の座は譲れない。

 他方、アスコリピチェーノ(牝・黒岩)はデビューからの連勝が前走・GⅠ桜花賞(2着)でストップ。それでも暮れのGⅠ阪神JF以来の実戦(プラス10キロ)で連対確保なら評価は下がらない。左回りは2戦2勝ならば東京決戦は大歓迎だ。

 トライアルのGⅡニュージーランドTで重賞初制覇のエコロブルーム(牡・加藤征)は全戦で複勝圏確保の安定感が売り。レース巧者ぶりを大舞台でも発揮できるか。同2着ボンドガール(牝・手塚)は桜花賞除外→スライド参戦で見事に優先出走権をゲット。鮮烈な初陣Vを決めた東京マイルで初タイトル奪取を狙う。

 同じくTRのGⅢアーリントンCを制したディスペランツァ(牡・吉岡)は半兄ファントムシーフにも劣らない強烈な末脚が魅力。同3着チャンネルトンネル(牡・福永)は転厩初戦でいきなり優先出走権をゲット。福永厩舎のGⅠ初参戦に注目が集まる。

 GⅢシンザン記念を制したノーブルロジャー(牡・吉岡)はジャンタルマンタルと同じパレスマリスを父に持つ外国産馬。前走・GⅢ毎日杯は休み明けもあり2着止まりだったが、2戦2勝のマイル戦で初のビッグタイトル奪取をもくろむ。

 GⅢファルコンSを制したダノンマッキンリー(牡・藤原)は同レースも含め全3勝が1400メートル戦。朝日杯FSでは8着に敗れたマイルの距離克服が課題となろう。一発の魅力があるのはシュトラウス(牡・武井)か。朝日杯FS10着→ファルコンS9着と連敗中だが、距離短縮で挑んだ前走で徹底的に競馬を教え込んでいた。GⅡ東京スポーツ杯2歳Sを制した実力馬。複勝圏を外したことがないホームの東京に戻り巻き返しを狙う。

著者:東スポ競馬編集部