◆「よくやった」

◆「すごい!」

◆「本当に頑張った」

こうした言葉は、外から褒め称える労いの典型だ。

なぜ「外から」になるかというと、褒める人は、褒めることで自分がいいことをしている気分になり(親が子供を褒めるときも同じだ)、達成したことの良し悪しを判断する立場になっているからだ。

「外から」ではない褒め方の例とは

「すごい」といった褒め言葉は、褒めた当人が、すごいと感じている自分がすごいという心理的な報酬を得ているのだ。

いい気分になるのは褒めたほうであり、褒められた相手には、内発的ではなく外発的な動機づけが生まれる。

その結果、達成することそのものではなく、親や上司を満足させるという外的な要因で満足を得ようとするようになる。

この種の発言は、マネジャーや責任者に良し悪しを判断する権利があると言っているようなものだし、発言の目的は明らかに、褒めた行動の頻度を増やさせることにある。

これは人を操る行為であり、他者の言いなりにしていればいいというメンタリティを誘発する。

では、「外から」ではなく、一体となって労うとはどういうものか。

それは、相手の言動を評価することなく感謝を伝えることであり、良し悪しを判断することなく見たままの感想を伝えることであり、褒め称えるのではなく相手の言動を尊重することである。

自分が見たままを描写し、それに対する感謝の意を表すと、労いは次のような言葉になる。

◆「プレゼンを3つのセクションに分けたのか。なるほど、そうした意味がよくわかる」

◆「予定どおりに製品を発表できそうだね。君のチームはあらゆる部署と連携をとってきた」

◆「例の提案を昨日送ってくれたんだな。ありがとう。おかげで週末までにクライアントに目を通してもらえそうだ」

相手の言動を描写するときは、「なるほど」「〜だとわかる」「〜になりそう」といった言葉を使うことを心がけるとよい。

著者:L デビッド マルケ