三菱自が用意したプレス向けの説明をひもとくと、トライトンの可能性について「カスタマイズ」「オフロード」「キャンプ」「ファミリーユース」「アドベンチャー」「レース」「自転車」「バイク」「スノーボード」といったキーワードとともに書かれている。

簡単にいえば、「レジャーユースとしての用途も増加」しているというわけだ。注目すべきは「ダカールラリーで鍛えた4WD性能・堅牢性・信頼性といった“パジェロDNA“を継承」していると強調される点だ。

水平基調のインストルメントパネルはどこか歴代パジェロに通じる雰囲気がある(写真:三菱自動車) 水平基調のインストルメントパネルはどこか歴代パジェロに通じる雰囲気がある(写真:三菱自動車)

「実際、購買層の中には、これまでパジェロオーナーだった方もいらっしゃいます」と前出の増田CPS。

パジェロの技術志向の作りは、一定のファンを獲得してきた。ところが、欧米の排ガス基準への適合のむずかしさなどを理由に、2019年に生産終了。それでもパジェロのレガシー(遺産)は健在で、三菱自では「パジェロで培った」とうたう独自の4WD技術をトライトンに搭載している。パジェロの「新世代の代役がトライトン」とみることもできるのだ。

洗練の乗り心地を確認

はたして、トライトンのドライブ。操縦したとき感じる洗練性は、パジェロをはるかにしのいでいた。

富士山麓の絶景を舞台にした試乗ルートをドライブした(写真:三菱自動車) 富士山麓の絶景を舞台にした試乗ルートをドライブした(写真:三菱自動車)

私が最後のパジェロをドライブしたのは2019年。そのときの記憶をたどると、オフロード性能はともかく、オンロードではラフなところがあり、「このまま改良しないなら生産終了もやむなし」という印象だった。

それに対して、トライトンは乗用車としてみても、まったく問題ない。道なき道で活躍するオフロード4WDトラックというイメージでのぞむと、拍子抜けするぐらい、(ほぼ)全方位的に完成度が高い。

試乗場所のひとつは、山梨・富士ヶ嶺(ふじがね)オフロードという、4WD車の悪路走破性を“楽しむ”ためのコース。岩場あり、砂利あり、かつ急勾配の登り下りと急なターンが連続して現れるような道を走った。