ゼレンスキー氏は「もし、ウクライナが無人機やミサイルの迎撃においてパートナー国から同様の全面的な支援を受けていたら、ヨーロッパの空はずっと前に同じレベルの保護を受けていただろう」と15日の夜にⅩへ投稿した。

特にアメリカ、イギリス、フランスの軍がイランのミサイルや無人機の迎撃に協力したことについて「イスラエルは北大西洋条約機構(NATO)加盟国ではないので、NATO第5条(集団的自衛権)発動などの行動は必要なかった」と指摘し、同じNATO非同盟国のウクライナ支援との差について「偽善」と非難した。「自由と民主主義の盾となっているウクライナとイスラエルは何が違うのか」とゼレンスキー氏は疑問を呈する。

イランからイスラエルに発射された自爆ドローンや、巡航ミサイル、弾道ミサイルの大半が迎撃されることはイランには想定の範疇だった。重要なことは歴史上始めて、中東の大国で反アメリカの急先鋒のイランがイスラエルを直接攻撃したことだった。

西側同盟国の遅々として進まないウクライナ支援

だが、ウクライナの見方は異なる。ロシア軍がウクライナに向かって発射する無人ドローン機は、今回イスラエル攻撃に使用されたのと同じイラン製だ。強固な防空システムさえあれば、ウクライナも迎撃できたはずだ。

アメリカなどの協力のもとにイスラエル軍が構築した防空システムは多種多様で、最も知られているのはイスラエル独自の地上発射型の防空システム「アイアンドーム」、さらに標的への命中率は90%と言われる「ラファエル・ディフェンス・システムズ」、アイアンドームの海上防空システム版の「Cドーム」、中長距離用のミサイルやドローンに対抗する防空システム「ダビデ・スリング」、さらに弾道ミサイル迎撃システムの「アロー2」と「アロー3」も保持している。

加えて、アメリカ製の地対空ミサイル「パトリオット」も今回活躍したとされる。ドイツはウクライナの防空能力を強化するパトリオット・ミサイル防衛システムを1基追加で送ることを約束したが、トーラス巡航ミサイルの提供は拒否したままだ。

フランス、イタリアは共同開発したSAMP/T−マンバという防空システム供与を決めているが、稼働に至っていない。西側同盟国の遅々として進まない支援にゼレンスキー氏がいら立つ中、4月17日、EU首脳は「ウクライナへの防空を緊急に提供する」必要性の認識で合意したものの、具体的には何も決まっておらず、「氷河期的ペース」と欧州メディアは指摘する。