「うちの会社はどうしてこうなのか」「弊社にはイノベーションがない」「グローバルスタンダードに後れを取るわけにはいかない」

これらは、組織で働く人であれば、何度も見聞きし、解決を図ろうとする問いではないでしょうか。

この問いに正しく向き合い、解くためには、「実戦で使える」戦略論が必要だと、神戸大学の三品教授は述べます。

30年以上にわたり、日本企業の戦略を考えてきた三品教授が、これから日本企業の舵取りをするビジネスパーソンに伝えたかったこととは。

700ページに及ぶ著書『実戦のための経営戦略論』から紹介します。

組織論では組織の問題は解けない

働く人の関心は、組織論に向かいがちです。

起きている時間の過半を職場で過ごし、そこで喜怒哀楽を味わい、懐具合まで決まるとなれば、無理もありません。

しかし、マネジメントの原義は「かろうじて何とかする」、意訳すれば「だましだまし、その場を繕う」ですから、職場に問題が山積することは前提となっています。

解くべき問題が絶えないので組織論は栄えますが、解くべき問題がいつまでも残るのは、半永久的に解けないからです。

戦略論は真逆です。2.0の視力で見ているかのように職場の内側で起きていることが見えている人も、職場の外側で起きていることとなると、0.2の視力程度にしか見えていない。

となると社員は戦略を身近に感じることもなければ、関心すら抱かないのではないでしょうか。しかし、戦略の問題は解くことが可能です。