伊豆半島を南北に貫く「伊豆縦貫道」の整備が進んでいます。東名・新東名から信号のないルートが形成され、楽に移動できるようになりつつありますが、ところどころ有料区間を挟み、その名称が異なっています。

東名・新東名から直通「伊豆縦貫道」

 伊豆半島の背骨部分を南北に貫く「伊豆縦貫道」の整備が進んでいます。2024年現在、東名高速の沼津IC、新東名高速の長泉沼津ICからそれぞれ「伊豆縦貫道」の案内に従って進んでいくと、信号のない高規格道路で中伊豆まで直通することが可能です。

 ただ、途中で有料区間を2か所挟みます。その名称は「伊豆中央道」と「修善寺道路」。沼津方面から伊豆縦貫道を走っていると「伊豆縦貫道 終わり」の看板とともに、「伊豆中央道」の案内が登場し、やがて料金所に引き込まれます。この伊豆中央道の料金所では、ETCは事前登録されたものしか使えず、普通車200円の料金を支払うため一旦停止する必要があります。

 さらに進むと現れるのが「修善寺道路」です。こちらも伊豆中央道と同様で、ETCは事前登録されたものしか使えず、通行料金は普通車200円。こうした2か所の“ゲート”があるものの、沼津から伊豆市の月ケ瀬ICまで、約30km強を信号無しで進むことができます。

 さらに、そこから国道136号の山道、いわゆる“天城越え”の区間を20kmほど進んだ河津七滝IC―河津逆川IC間3kmは、「伊豆縦貫道」として2023年に開通。下田方面までの建設も進んでいます。

 では、未開通部はよいとして、ここまでのあいだに2か所ある有料道路「伊豆中央道」と「修善寺道路」は、伊豆縦貫道ではないのでしょうか。

無料にならない? 伊豆中央道と修善寺道路

 伊豆中央道、修善寺道路とも、静岡県道路公社が整備した国道136号のバイパスであり、独立した有料道路でした。その前後区間を国道136号バイパスとしてつなぎ、伊豆縦貫道として整備された区間と連続させたのが現在の姿です。

 両道路を経由する函南から修善寺までのあいだは、別に伊豆縦貫道としての本線が建設されることになっています。ただ、その計画は手付かずのままです。

 1988年に開通した伊豆中央道はもともと2015年に、1998年に開通した修善寺道路は2025年に、それぞれ無料化される予定でした。しかし、どちらも料金徴収期限を迎えても未償還額が残るとされ、2015年に「合併採算性」を導入し伊豆中央道の料金徴収期間を延長。下田までの一連の道路が概成すると想定されていた2023年に双方を無料化することになりました。

 しかし2023年、その計画も一転。両道路を無料化した場合、交通量が約2倍になり渋滞が悪化するとされたこと、さらに沼津の市街地から伊豆中央道方面へ延ばす「静浦バイパス」の整備に費用がかかるとされたことなどから、静岡県は財源確保のため両道路の料金徴収を40年延長しました。

 2024年現在、「伊豆縦貫道」として南端の河津逆川ICから下田までの建設が進むほか、最も難工事が予想されている“天城越え”区間についても、事業化に向けた手続きが始まっています。しかし、下田までのあいだに2つの有料区間を含む形態は、当面のあいだ続きそうです。