40年以上、日本人の死因1位で2人に1人はかかるといわれている「がん」。専門医の岩田宏医師は「小さいうちに見つければ怖い病気ではない」と話します。

何より大切なのは早期発見です。最先端の検査器具がそろう東名古屋画像診断クリニックで、がんの中でも怖い種類と、見つけるための検査法を調査しました。

自覚症状がほとんどない「肝臓がん」

肝臓がん

2022年の1年間で、約2万3000人以上が亡くなった「肝臓がん」。肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれ、がんがあっても初期には自覚症状がほとんどありません。そのため進行が分かりにくいのが特徴です。岩田医師によると、気を付けなくてはいけない症状は「黄疸(おうだん)」といいます。

岩田宏医師

岩田宏医師:
「黄疸が出るときは、肝臓から出る“胆汁”という消化液をどこかでせき止めている状況。かなり進んだ状況で見つかることが多いです」

早期発見のため、岩田医師が薦める検査は「超音波」です。超音波の検査は非常に精度が高くなっているため、肝臓がんに関しては超音波で診るのがいちばん良いと話します。

「すい臓がん」は初期症状が少ないため発見が遅れやすい

すい臓がん

「すい臓がん」とは胃の後ろにあるすい臓にできるがんのこと。初期症状が少ないため発見が遅れやすく、年間の死亡者数は約4万人です。

岩田医師:
「これまではかなり進んだ状態で発見されることが多かったので、予後が短かったです。しかし今は健診で早く見つければ、すい臓がんも怖い病気ではないと思います。早期発見のためには『超音波』の検査をおすすめします。最近の健康診断は、すい臓もきちんと診るようになっているので、超音波検査なら手軽に受けられます」

「胃カメラ(内視鏡検査)は年に1度、受けてもらいたい」

胃カメラはぜひ年に1回は受けてもらいたい

年間約4万人が亡くなっている「胃がん」。早期発見のために必要な検査は「胃カメラ(内視鏡検査)」です。

岩田医師:
「胃カメラは年に1度は受けてもらいたいです。今の早期の胃がんは外科で手術をしなくても、内科の先生が内視鏡で取って終了という時代。内視鏡(検査)がいちばんクリアかと思います」

内視鏡検査は苦しいイメージですが、岩田医師によるとほとんどの病院が鎮静剤を使って内視鏡検査を行うといいます。

岩田医師:
「『〇〇さん、今から注射しますね』と言われたあと、気づいたときには検査が終わっています。かなり楽に検査が受けられるようになっています」

「肺がん」の症状は咳

自覚症状がないため進行してしまう場合が大半

「肺がん」は年間約7万6000人が亡くなっています。肺自体には痛みの神経がないため、がんが転移するまで自覚症状がなく、進行してしまう場合が大半だといいます。

岩田医師:
「症状は『咳』です。気管や気管支にできるがんは、やたら痰(たん)が多い。あとは痰に血が混じる血痰。そういう症状が出る方も多いです」

早期発見するための検査は「CT」です。

岩田医師:
「胸の(レントゲン)写真で見つかる早期の肺がんはほとんどないんですね。肺のCTを撮らないと、早期の肺がんは見つからないんじゃないかな」

便に血液が混ざる「血便」が出た場合は要注意

大腸がん

数あるがんの中でも、怖いのは「大腸がん」。年間で10万人以上の方が亡くなっています。便に血液が混ざる「血便」が出た場合は要注意ですが、ほかにも気を付けなければいけない症状があります。

岩田医師:
「大腸の始まりのほうにがんができたときには、『下痢と便秘を繰り返し起こす』症状がいちばん多いです。大腸の終わりのほう、直腸にできるがんの場合は便秘です。お腹の張り感や便がずっと細いというのも症状の1つです。

早期発見のためには、実際に(内視鏡で)覗くのが良いです。早期のがんは明らかに発見しやすいので、胃カメラ同様、大腸の内視鏡も鎮静剤を使えば非常に楽に検査できます」

健康診断を受けるときのポイント

さまざまながんの検査を複合的に受けるのが大事

健康診断を受けるときの注意点を岩田医師に聞くと、「健康診断は単発ではなく、(さまざまながんの検査を)複合的に受けてもらうのが大事」とのこと。早く見つかれば、完全に治る可能性も高まります。定期的に健康診断を受け、自分の健康状態を把握しておきましょう。