お笑いコンビ『ダウンタウン』の松本人志さんが、週刊文春の記事に名誉を傷つけられたとして、損害賠償などを求めた裁判が28日、始まりました。

東京地裁前には、一般傍聴席を求める、長蛇の列ができました。19席分の傍聴券に対し、691人が並び、倍率は約36倍。

訴状には、2人の女性への取材をもとにした、記事の内容が記されています。「いきなりキスをされ、混乱していると、松本さんは『さっきの話や。俺の子ども、産めるの?』と迫ってきた」「松本さんは迫ってくるなかで、嫌がる私に何度もキスをしてきました」などといったものです。

こうした内容に対し、松本さん側は全面的に否定しています。
「性的行為を強要したという客観的証拠は存在しない。芸能活動に致命的な負の影響を与えることにより、社会的評価を低下させる」などと主張し、発行元の文藝春秋などに対し、5億5000万円の損害賠償や、謝罪広告の掲載を求めています。

一方、文藝春秋側は「社会に強い影響を与える地位にある原告が、女性の尊厳ないし、人権を無視する行動を行ったことを報じるものとして、公共の利害に関する事実にかかるもの。複数回の取材を重ね、慎重に検討したうえで、原告に対する反対取材等も経て、真実と確信したものである」などと主張し、全面的に争う姿勢を示しました。

社会部司法担当・吉田遥記者:「松本さん側は、記事が事実かどうか、その認否を明らかにするのに、被害者の女性を特定してほしいと求めている。週刊文春側は認否を明らかにするのに、女性の個人情報は必要ないと、双方の主張が真っ向から対立している」

今後の審理は、ウェブ会議を利用して進めることになっています。次回は、6月5日に行われる予定ですが、内容は、非公開になるということです。

松本さん本人は、裁判を前に、こうコメントしています。
松本人志さんのコメント:「人を笑わせることを志してきました。自分の主張はかき消され、受け入れられない不条理に、ただただ困惑し、悔しく悲しいです。世間に真実が伝わり、一日も早く、お笑いがしたいです」