【盛り土規制法】5月26日施行へ 国の検討会が自治体へのガイドライン作成も…専門家「行政の意識改革が必要」
静岡県熱海市で起きた土石流災害を教訓に「盛り土規制法」が5月26日に施行されるのを前に、国の検討会が開かれた。自治体が運用する際のガイドラインがまとめられたが、厳罰化される法律の内容と課題は?

静岡県熱海市で起きた土石流災害を教訓に「盛り土規制法」が5月26日に施行されるのを前に、国の検討会が開かれた。自治体が運用する際のガイドラインがまとめられたが、厳罰化される法律の内容と課題は?

5月17日、国土交通省で開かれたのは…

(西尾 拓哉記者)

「盛り土規制法の施行を前に専門家らによる検討会が開かれます。盛り土の安全対策などについて話し合う予定です」

森林や土木・地すべりの専門家らによる国の検討会。

盛り土規制法の施行を前に自治体が法律を運用する際のガイドラインがまとめられた。

28人が亡くなった熱海市の土石流災害では、盛り土への静岡県や熱海市の対応が後手にまわり大規模な崩落を防げなかった。

盛り土規制法では、宅地や森林・農地など土地の利用目的によって適用される法律が異なっていた状況を見直し、全国一律で規制を強化。危険な盛り土をした法人に、最高3億円の罰金を科すなど厳罰化される。

盛り土規制法の特徴は、知事や政令市の市長が盛り土の崩落によって被害が出るおそれがある場所を「規制区域」に指定すること。

規制区域で盛り土する場合は「許可」が必要となり、危険な盛り土を未然に防ぐことが期待される。

静岡市出身で検討会の委員を務める学習院大学の大橋洋一教授は「行政の意識改革が必要」と指摘する。

(学習院大学 大橋洋一教授)

「自治体の職員も盛り土問題を避けて通ることはできない。厳しくやっていかないと問題の解決にならないことに早く気がついて、第一歩を進めていただくことが大事」

一方、盛り土規制法には課題も…

一部の専門家からは、工事を発注した国やゼネコンが建設残土が最終処分されるまで責任をもって追跡すべきという声も上がっていたが、規制法では「義務化」には至らなかった。

(学習院大学 大橋洋一教授)

「厳しく見てもらって(国やゼネコンが)追えていないとなれば、次の法制度がもう一つ必要なのかどうかは今後の課題で、執行状況を見ながら要望していけばいい」

盛り土規制法は5月26日に施行されるが、法律の実効性を高めることはできるのだろうか。