「2023年度中」とされていた発売予定時期が、先ごろ「2024年央以降」へと変更されたトヨタ新型「クラウン・エステート」。発売延期は残念なニュースですが、依然として2024年の注目車種であることに変わりはありません。そんな新型クラウン・エステートは、キャンプやゴルフといった“外遊び”のアシに活躍してくれるのでしょうか?

“アクティブキャビン”の使い勝手はどうか?

 4タイプの個性が異なるモデルをラインナップしているトヨタ自動車の現行「クラウン」。最後を飾る新型「クラウン・エステート」は、先頃、発売が少し延期されることが明らかになりましたが、依然として2024年の注目車種であることに変わりはありません。

 すでに明らかになっているように、新型クラウン・エステートは広大かつ使い勝手のいいラゲッジスペースを備えたモデル。それだけに、キャンプや車中泊、フィッシングといったレジャーシーンでも活躍するのか、使い勝手が気になる人も多いでしょう。

 そこで今回は、SUVとステーションワゴンの魅力を“いいとこ取り”した新発想モデルである、新型クラウン・エステートのラゲッジスペースについてチェックしてみましょう。

 現行のクラウンシリーズは実に16代目。1955年に誕生した初代モデルは、戦後の物資やノウハウの乏しい時代に開発がスタート。しかし、開発陣の創意工夫により、日本車として初めて“100%国産“を実現したモデルとなりました。

 そうした初代モデルの誕生の経緯もあって、歴代クラウンには“革新と挑戦”というDNAが息づいています。そのことを改めて誇示したのが、2022年7月に誕生した現行シリーズでしょう。

 近年、クラウンといえばセダンという印象が強かったものの、16代目は概念を一掃。意欲的な開発によって、現行シリーズは2022年に発売された「クラウン・クロスオーバー」、王道の「クラウン・セダン」、クーペSUVの「クラウン・スポーツ」、そして、ステーションワゴンとSUVの魅力を融合したクラウン・エステートという4モデルをラインナップすることになりました。これら4台の“クラウン群”で、変化の著しい市場ニーズに対応しようというのです。

 なかでも新型クラウン・エステートは、チャレンジングなモデルです。

 21インチのタイヤ&ホイールを履く新型クラウン・エステートのボディサイズは、全長4930mm、全幅1880mm、全高1620mm、ホイールベース2850mm。クラウン・クロスオーバーと比べて、40mmワイドで80mm背が高いサイズとなっています(クラウン・エステートの数値はすべて開発目標値)。

 そんな新型クラウン・エステートのコックピットは、他の現行シリーズと同様のテイストでまとめられています。

 ディスプレイやシフトセレクターといった各種機能を集約し、島のように配置した“アイランドアーキテクチャー”コンセプトを採用。運転席や助手席の素材やカラーは、それぞれ別仕立てのコーディネートとなっています。

 これにより、運転席はドライビングに集中できるブラックの色合いに統一され、助手席側は異なる素材と配色により同乗者がくつろげるスペースに仕上げています。

 また運転席は、メーターやディスプレイを水平のゾーンに集約することで、ドライバーの視線移動を最小限に。各種操作に迷うことのない、ドライビングの楽しさを味わえるスペースとなっています。

 新型クラウン・エステートのパワートレインは、HEV(ハイブリッド)とPHEV(プラグインハイブリッド)の2種類。駆動方式はいずれも4WDを採用します。

 現時点で詳細なスペックは明らかになっていませんが、クラウン・スポーツと同様の設定であることから、スペックもクラウン・スポーツに準じたものとなりそうです。

 つまりHEVは、最高出力186ps、最大トルク221Nmを発生する2.5リッターエンジンに、最高出力119.6ps、最大トルク202Nmのフロントモーターと、最高出力54.4ps、最大トルク121Nmを発生するリアモーターの組み合わせ。

 同じくPHEVは、最高出力177ps、最大トルク219Nmを発生する2.5リッターエンジンに、最高出力182ps、最大トルク270Nmのフロントモーターと、最高出力54.4ps、最大トルク121Nmを発生するリアモーターの組み合わせになると推測されます。

●“アクティブキャビン”の荷室の使い勝手が気になる

 トヨタ自動車が「洗練と余裕の大人の雰囲気を併せ持ち、リアのフルフラットデッキとともに、機能的なSUVとしてアクティブライフを楽しめるモデル」と位置づける新型クラウン・エステート。そのコンセプトは“アクティブキャビン”で、仕事にも遊びにも一生懸命なユーザーたちが満足できるクルマに仕上がっているといいます。

 それを象徴するのが、ラゲッジスペースからフロントシートの背後までフラットなスペースが続くリアキャビンのフルフラットデッキ。リアシートの背もたれを倒してボードを展開すると、リアゲートからフロントシートの背もたれまで2mを超えるスペースが出現します。

 この広くフラットなスペースは、長尺のサーフボードやゴルフのキャディバッグ、自転車やキャンプ道具をといった多彩なアウトドアギアを積むのに重宝しそう。加えて、フラットなスペースであることから、快適な車中泊も楽しめそうです。

 さらに新型クラウン・エステートは、ラゲッジスペースの上質な仕立ても印象的。フロア部はもちろんのこと、ホイールハウスなど両サイド部分にも毛足の長いソフトなカーペットでしっかりと覆われ、ラグジュアリーな仕立てとなっています。

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 ステーションワゴンとSUVの美点を“いいとこ取り”した新型クラウン・エステートは、フルフラットデッキを武器に、ユーザーが思い思いの使い方を楽しめるモデルとなりそう。

 普段使いはもちろんのこと、休日のレジャードライブまで多彩なシーンで活躍してくれそうです。