イタリアに本拠地を置くカロッツェリアである「ザガート」が、限定19台の「AGTZツインテール」を発表しました。すでに完売されているようですが、どのようなクルマなのでしょうか。

ル・マンカーのような超ロングテールは着脱可能

 自動車工業が盛んなイタリアでは、自動車ボディをデザインや制作する会社である「カロッツェリア」が数多く存在します。

 代表的なものでいえば、歴代フェラーリを多く輩出してきた「ピニンファリーナ」や初代トヨタ「アリスト」やフィアット「パンダ」をデザインした「ジウジアーロ」などです。

 そのなかでも個性的なデザインで一部の購入層から高い支持を得ているデザイン会社に「ザガート」があります。

ザガートは1919年にイタリア・ミラノで創業した企業で、航空機の製造技術をクルマに応用し、軽量で空力性能の優れたクルマを誕生させてきました。

 ザガートの代表作には「アルファロメオSZ」などがあり、アルファロメオをはじめとするイタリア車に携わることが多かったですが、日産系列の「オーテック・ザガート・ステルビオ」を制作するなど国産自動車メーカーともゆかりのある企業でした。

 そのザガートがポーランドの高級車ディーラー「ラ・スクアドラ」とタッグを組み、限定19台の「AGTZツインテール」を誕生させました。

 AGTZツインテールのベース車両は、フランスの自動車メーカーであるアルピーヌの「A110」です。

 A110のパワートレインは1.8リッター直列4気筒のターボエンジンで、最高出力は300㎰、最大トルクは340Nmとなっています。

 AGTZツインテールのコンセプトは1969年にル・マン24時間耐久レースで活躍した、アルピーヌ「A220」となっています。

 アルピーヌA220はル・マン優勝に向けに開発されましたがその夢は叶わず、後にアルピーヌの方針転換により、ラリーに参戦するようになります。

 そこでA220は、ラリーでも活躍するためにル・マンカーの特徴でもあるロングテールを300㎜短縮します。

 そのストーリーを受け継いだAGTZツインテールは、着脱が可能なロングテールを採用することで、アルピーヌのモータースポーツ時代を現代に蘇らせることに成功しました。

 AGTZツインテールの丸目4灯のヘッドライトは当時のA220のイメージを色濃く残し、ロングテールは空力に優れるだけでなくエレガントさも兼ね備えています。

世界限定19台 約1億400万円のスペシャルモデルはすでに完売

 一方でロングテールを取り外したショートテールでは、躍動感のあるデザインとなり回頭性の向上につながりました。

着脱可能なリアテールが斬新なザガート新型「AGTZツインテール」

 このようなル・マンカーとラリーカーが1台で堪能できるAGTZツインテールですが、類を見ないコンセプトカーのためSNS上でも賑わっています。

 デザイン関連としては「ザガートらしい攻めたデザイン」や「すげえいいコンセプト、デザイン!」「ツインテールが斬新!」など高評価の声が目立ちました。

 ほかにも「ロングテールがカッコいい!」や「まんまA220(ル・マンカー)じゃん」など、従来のクルマにないロングテールに対する評価の声も見受けられました。

 また「リアのデザインがマクラーレンのスピードテイルっぽいな」や 「キャデラックのフリートウッドローライダーみたい」などマニアックな書き込みもありました。

 一方で「この発想は国産メーカーじゃ無理」や「AGTZツインテールに対応できるように車検制度を変えろ」「日本だと全長が変わるから車検は取れないね」など、日本の法律ではボディ構造に問題があるとの指摘も多く見受けられました。

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 今回のAGTZツインテールは限定19台がすべて完売とのことで、2024年2月のスイスで開催される「I.C.E.サンモリッツ」か2024年のイタリアの「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」ぐらいでしか実車を見る機会がないでしょう。

 なお、AGTZツインテールの価格は65万ユーロ(日本円で約1億400万円)というプライスになっています。