トヨタ新型「GRヤリス」登場！300馬力超えの進化版は“最速のAT”仕様を設定さらにWRC選手監修の特別仕様車も用意

2024/03/22 13:30

トヨタ新型「GRヤリス」

2020年秋に発売されてから3年、東京オートサロン2024の会場で世界初公開されたTOYOTA GAZOO Racingが手がける本格4WDスポーツカー新型「GRヤリス」が日本市場に登場します。どう変わったのでしょうか。

全面改良といっていいほど進化した新型GRヤリス

　TOYOTA GAZOO Racing（以下、TGR）は2024年3月21日、さらなる進化を遂げたトヨタ新型「GRヤリス」を発表、同年4月8日に発売します。

　2020年に誕生したGRヤリスは、トヨタのスポーツカーブランド「GR」の名を冠したスポーツモデルです。トヨタ車としては「セリカGT-FOUR」以来、およそ20年ぶりに復活した本格4WDスポーツカーとなります。

　以来、さまざまなモータースポーツへの参戦を継続、極限の環境で「壊しては直す」を繰り返し、プロドライバーや評価ドライバー、マスタードライバーのモリゾウこと会長の豊田章男氏などからのフィードバックを反映する「ドライバーファーストのクルマづくり」を実施してきたといいます。

　今回登場する新型GRヤリスは、車両を限界まで追い込んでくれたドライバーへ「壊してくれてありがとう」を合言葉に、失敗しながらチャレンジし、パワーユニットはもちろん、ボディや内外装などにも意見を反映し、車両性能を総合的に向上させました。

　新型GRヤリスの注目点は、「GAZOO Racing Direct Automatic Transmission(以下、GR-DAT) 」と呼ばれる8速AT車の設定です。

　「より多くの方に走る楽しさを提供し、モータースポーツの裾野を広げたい」というモリゾウの想いの下、「幅広いドライバーがスポーツ走行を楽しめ、レースでMTと同等に戦えるAT」を目指し開発したというGR-DATは、MT車と同等に戦えることを目指して開発されたといいます。

　このGR−DATはスポーツ走行に最適化された制御のソフトウェアを採用。従来は減速Gや速度といった車両挙動を感知して変速させていましたが、ブレーキの踏み込み方や抜き方、アクセル操作といったドライバーの操作を細かく感知し、車両の挙動変化が起こる前に変速が必要な場面を先読みし、ドライバーの意思を汲むギア選択を実現しています。

　これにより、プロドライバーによるシフト操作と同じようなギア選択が可能となりました。また、世界トップレベルの変速スピードや6速MTから8速ATへの多段化などにより、エンジンのパワーバンドを活かした走りを可能にしています。

　またインテリアも大幅にデザイン変更。コックピットを「高い運動性能を実現するための重要な要素」として捉え、プロドライバーとともに「ドライバーファーストなコックピット」を追求したといいます。

　その結果、スーパー耐久シリーズ参戦車および全日本ラリー参戦車をモチーフに、操作パネル・ディスプレイをドライバー側へ15度傾けて設置したほか、ハーネスで体をシートに固定した状態でも使いやすいスイッチ配置とするなど、視認性と操作性を向上しています。

　新型GRヤリスのボディサイズは全長3995mm×全幅1805mm×全高1455mm、ホイールベースは2560mmで乗車定員は4名、最高出力304馬力・最大トルク400Nmを発生する1618ccの直列3気筒インタークーラーターボ「G16E-GTS」エンジンを搭載します。車両重量は6速MT仕様が1280kg、GR-DAT仕様が1300kgです。

　新型GRヤリスの消費税込みの車両価格は以下のとおりです。

・GRヤリス RZ（6速MT）：448万円
・GRヤリス RZ（GR-DAT）：483万円
・GRヤリス RZ“High-performance”（6速MT）：498万円
・GRヤリス RZ“High-performance”（GR-DAT）533万円

WRCドライバーが監修した斬新な「GRヤリス」特別仕様車

　さらに新型GRヤリスには、TGRワールドラリーチームに所属するWRCドライバーが監修した2台の特別仕様車も設定されます。

トヨタ「GRヤリス RZ“ハイパフォーマンス」の「セバスチャン・オジエエディション」（写真左）と「カッレ・ロバンペラエディション”」（右）

　これは「ラリーの現場でクルマを鍛え、成長させてくれるドライバー、その機会を与えてくださるすべてのチーム、主催者を含む関係者の皆様、そして、ファンの皆様へ敬意と感謝を伝えたい」というモリゾウの想いの下で開発されました。

　2024年FIA世界ラリー選手権の第1戦「ラリー・モンテカルロ」の会場にて世界初披露され、WRCドライバーのセバスチャン・オジエが監修した「GRヤリス RZ“ハイパフォーマンス・セバスチャン・オジエエディション”」と、同じくカッレ・ロバンペラが監修した「GRヤリス RZ“ハイパフォーマンスカッレ・ロバンペラエディション”」の2台となります。

　オジエはWRCでこれまで8度、ロバンペラは2022年と2023年の2シーズン連続でそれぞれWRCのドライバーズタイトルを獲得した名ドライバーです。

　オジエエディションは新規色となるマット仕上げのボディカラー「マットステルスグレー」を採用。WRCチャンピオン獲得を記念した「WRC優勝記念デカール」をフロントフェンダーの左右に装着しています。

　オジエエディション専用の4WD制御モードとして、スタンダードモデルの「GRAVEL」と「TRACK」に代わり、「MORIZO」と「SEB.」を設定。「MORIZO」モードは、トラクション性能と旋回性能を高次元で両立させるべく、モリゾウこと豊田氏が走り込んで導き出した駆動力配分をオジエが気に入り採用に至ったといいます。

　もうひとつの「SEB.」モードは、前輪の旋回性を確保しながら、後輪の駆動力による車両コントロールを可能にするため、後輪寄りの前後駆動力配分とした仕様となっています。

　一方のロバンペラエディションは、ボディカラーに「三色塗装」を採用。これはロバンペラ選手の友人のデザイナーによるデザインを採用したもので、カッティングシートなどは使用せず、すべて塗装のみで3色の塗り分けを実現したといいます。

　またロバンペラエディションも専用の4WD制御モードを設定。スタンダードモデルの「GRAVEL」と「TRACK」に代わり、「DONUT」と「KALLE」を設定しています。

「DONUT」モードは、ドリフト走行やドーナツターンを得意とするロバンペラのために採用された仕様で、ドリフト走行時のスライドコントロール性を確保、「KALLE」モードは、追加装着した等速リアディファレンシャルの効果を最大限に活かす制御で、リニアな挙動特性を実現するといいます。

　2台のGRヤリス特別仕様車の消費税込みの車両価格は以下のとおりです。

・GRヤリスオジエエディション：845万円
・GRヤリスロバンペラエディション：845万円

　なお、これら特別仕様車は各100台の限定発売で、希望者は2024年3月21日から31日に店頭申込（GRガレージ限定）、4月18日に当選連絡後に商談、という流れになっています。