まもなく日本でもトヨタ新型「ランドクルーザー250」の販売が開始される予定です。「ランドクルーザープラド」の後継車として2023年夏の発表から注目を浴びている新型車ですが、あらためてどんなモデルなのか、そしてランクルシリーズの中でどういった違いがあるのか検証します。

ランクル300同様「GA-Fプラットフォーム」を採用

 2023年8月に世界初公開されたトヨタ新型「ランドクルーザー250(以下ランクル250)」ですが、まもなく日本でも発売される予定です。

 新型ランクル250は、従来の「ランドクルーザープラド(ランクル150系)」の後継モデルとして登場する新型車ですが、現在トヨタのランクルシリーズには「ランドクルーザー300(ランクル300)」「ランドクルーザー70(ランクル70)」が存在しています。

 それらにはどんな違いがあるのでしょうか。

 まず、ランドクルーザーの歴史を見ていきましょう。

 ランドクルーザーは、「トヨタBJ型」として1951年8月1日に登場、シリーズとして生誕73周年を迎えた歴史あるモデルです。

 誕生直後には自動車として初めて富士山6合目の登山に成功したといいます。その後世界中で「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」として信頼性・耐久性・悪路走破性の継承と進化を続けながら、現在までに約170の国と地域で、累計1130万台が販売されています。

 ランクルは、常に最新技術を導入しフラッグシップとして進化を担うステーションワゴン(300シリーズ)、高い耐久性、走破性が求められるヘビーデューティーモデル(70シリーズ)、悪路走破性をベースに扱いやすさと快適性を付与し、人々の生活と実用を支えるライトデューティーモデル(”プラド”)の3シリーズで展開してきました。

 まもなく登場する新型ランクル250シリーズは、ランクルの中核モデルとして、”300″シリーズと同じGA-Fプラットフォームを採用し、フレーム剛性は+50%向上、車両全体の剛性としては+30%向上という従来型費で大幅な剛性強化を実現。

 さらにサスペンションの基本性能向上や、電動パワーステアリング(EPS)の採用、またトヨタブランドとして初採用となる、スイッチ操作で、フロントスタビライザーの状態を切り替え可能SDM(Stabilizer with Disconnection Mechanism)の採用などで、オフローダーとしての基本性能を大幅に向上しています。

 新型ランクル250のボディサイズは全長4925mm×全幅1980mm×全高1870mmと、従来型に比べ全長で100mm、全幅95mm、全高20mm、それぞれ拡大。またホイールベースも2850mmと、従来型比で60mm拡大しています。

「ランクル300」「ランクル70」それぞれの個性とは

 トヨタ・ランドクルーザーシリーズにおいて、フラッグシップモデルという位置付けにあるのがランドクルーザー300(ランクル300)です。

ランクルシリーズのフラッグシップ、トヨタ「ランドクルーザー300」だ

  全長4950mm×全幅1980mm×全高1925mmという、シリーズ中もっとも大柄なボディを持つランクル300は、上質な内外装と多彩な機能装備により、高級SUVとしての側面も兼ね備えており、ランクルシリーズのフラッグシップモデルという立ち位置にあります。

 一方、ランドクルーザー70(以下、70)は、ほかの2つのモデルと少々毛色が異なります。

2023年11月に再再販されたトヨタ新「ランドクルーザー70」

 1984年に登場した当時から基本設計を大きく変更していない70は、新車で購入可能なモデルでありながら、現代のクルマにはない独特な雰囲気を持っています。

 シリーズのなかではヘビーデューティー用途向けのモデルであるとされていることから、高級感や快適性といった面では300や250に劣るものの、「道具」としての信頼性は抜群です。

 このように、ランドクルーザーシリーズの各モデルは、それぞれ大きく異なる特徴を持っています。

 その一方で、高い悪路走破性能や圧倒的な信頼性はいずれのモデルにも共通しており、こうした特徴がランドクルーザーシリーズ全体の人気を下支えしています。

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 では3台のランクルシリーズの選ぶポイントはどこにあるのでしょうか。

 オフロード以外の一般道や高速道など日常走行がメインだと考えた場合、ランクル300を選ぶか新型ランクル250を選ぶかは、ルックスの好みやライフスタイルによって考えるとよいかもしれません。

 新型ランクル250の事実上の前身である「ランドクルーザープラド(以下、プラド)」は、シリーズのなかでもライトデューティ用途に特化したモデルとして、ボディサイズや機能装備に一定の制限が与えられていたことから、取り回しやコストの面からプラドを選ぶという選択肢もありました。

 しかし、新型ランクル250のボディサイズはランクル300とほとんど変わらず、また、最新の機能装備が多く搭載されていることから、価格についてもランクル300に近いものになると予想されています。

 高級SUVとしての側面を重視するか、タフなクロスカントリー車としての側面を重視するかという点は、両車を比較検討する際の大きなポイントとなりそうです。

 また、ガソリン車とディーゼル車がラインナップされているランクル300に対して、新型ランクル250にはランドクルーザーシリーズとしてははじめてハイブリッド車が設定される見込みです。そうしたパワートレインの違いに注目してみてもよいかもしれません。

 一方、ランクル70に関しては少々注意が必要です。

 ランクル70と新型ランクル250はどちらもスクエアデザインのレトロなルックスが特徴ですが、最新の技術で開発・製造された新型ランクル250に対し、ランクル70は、現在の法規制に対応したアップデートは施されているものの、あくまで1984年当時の技術をベースとしたモデルです。

 そのため、単にスタイリングだけでランクル70を選んでしまうと、乗り心地や快適性といった面で不満を覚えることになる可能性もあります。

 その分、ランクル70には現代のクルマにはない魅力があるのも事実です。そうした魅力を味わいたいのであれば、ランクル70は唯一無二の選択肢と言えるでしょう。

 ただ、どのようなモデルであっても「ランドクルーザー」の名前を持つ限りは、「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」という、ランドクルーザーシリーズの基本思想が中心にあることは間違いなさそうです。