2024年4月12日に世界初公開されたアルファ ロメオの新型コンパクトSUV「ミラノ」の車名が急遽、「ジュニア」に変更されました。突然発表された理由とは何なのでしょうか。

 ステランティスの伊ブランド、アルファ ロメオは2024年4月15日、同年4月10日に世界初公開された新型コンパクトSUV「MILANO(ミラノ)」の車名を「Alfa Romeo JUNIOR(アルファ ロメオ・ジュニア)」に変更すると発表しました。

 新型ミラノ改めジュニアは、全長4170mm×全幅1780mm×全高1500mmというBセグメント・コンパクトSUVです。アルファ ロメオとしてコンパクトセグメントへの復帰ということで注目されています。

 ミラノとはイタリア北部の都市で、1910年6月にアルファ ロメオが創業した場所から名付けられました。ちなみにアルファ ロメオのエンブレムは、ミラノ市があるロンバルディア州のシンボルである十字架と、ミラノの象徴である貴族「ヴィスコンティ家」の紋章のビショーネ(蛇)が描かれています。

 今回、車名を改名した理由は、イタリア政府当局者が、「ミラノ」という名前の仕様は法律で禁止されていると宣言したことによります。

 アルファ ロメオ側としては、この名前がすべての法的要件を満たしており、新車の名前よりもはるかに重要な問題があると信じているといいますが、相互促進の精神から、車名の変更に至ったといいます。

 新たに登場したジュニアの車名にも歴史があり、いまから58年前、1966年9月に「GT1300ジュニア」が発表されています。このモデルはアルファ ロメオの新世代のリーダーとなりました。また同様のバージョンのスパイダーも「ジュニア」と呼ばれます。

 GT1300ジュニアは1290ccのツインカムエンジンを採用、89馬力を発揮しました。最高速度は170km/h以上で高いパフォーマンスとドライビングプレジャーを実現したといいます。GT1300ジュニアは9万2000台以上を販売、ラインナップ全体のベストセラーとなり、当時のステイタスシンボルとなりました。

 アルファ ロメオのCEO、ジャン・フィリップ・インパラート氏は「アルファ ロメオ・ジュニアという名前の選択は完全に自然であり、それはブランドの歴史と強く結びついており、当初から私たちのお気に入りのひとつ、そして一般の人のお気に入りの名前のひとつでした。我々のクルマが常に生み出してきたポジティブな感情を維持し、いかなる種類の論争も避けたいため、そうする必要がないことはわかっていますが、名前を変更することにしました。

 新型コンパクトSUVは初公開されてからオンラインコンフィギュレーターへの前例のない数のアクセスがあり、WEBサイトが数時間にわたり止まるほどでした。このように、新しいスポーツコンパクトに対する注目は非常に高まっています:とコメントしました。

ミラノ改めジュニアってどんなクルマ?

 新型ミラノ改めジュニアの外観デザインは「チェントロスティーレ(Centro Stile=デザインセンター)」のオリジナルなイタリアンデザインが特徴的です。「3+3」のアダプティブフルLEDマトリックスヘッドライトを備えたフロントマスクが、強力なアイデンティティを発揮しています。

アルファ ロメオ新型「ジュニア」のリアスタイル

 さらにリアは伝説の「ジュリアTZ」を彷彿とさせる“切り詰められた”テールデザインを採用。ひと目でアルファ ロメオらしさを感じさせるものとなっています。

 インテリアはドライバー志向のコックピットとなっています。小径ステアリングホイールを採用、すべてがドライバーの手の届くところに配置されています。

 ドライバーに向けて配置された10.25インチのタッチスクリーンは、ウィジェットと連携するように開発されており、素早く簡単なドラッグ アンド ドロップでカスタマイズできます。

 トランク容量は400リッターとクラス最大を誇ります。また「自動運転レベル2」相当の先進運転支援システムや、360°パーキングセンサー、180°リアカメラなども用意されます。

ジュニアの車名は1966年9月に発表された歴史的な名車アルファ ロメオ「GT1300ジュニア」が由来になっている

 またアルファ ロメオとして初のEV(電気自動車)「ジュニア・エレットリカ(ELETTRICA)」を用意。

 このモデルはエネルギー密度が高い蓄電容量54kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。156馬力バージョンと240馬力バージョンの高性能モデル「ヴェローチェ」の2種類の展開で、156馬力バージョンはWLTPサイクルで最大410km、市街地サイクルで590kmの航続距離を実現。さらに100kWの急速充電に対応し、10%から80%まで30分未満で充電が可能です。

 またEVだけでなく48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載したICEモデル「ジュニア・イブリダ(IBRIDA)」を用意したのも新型ジュニアの特徴です。

 こちらは可変ジオメトリーターボを備えた1.2リッター直列3気筒ミラーサイクルエンジンを採用、6速DSGに組み込まれた48Vのリチウムイオンバッテリーと21kW(約28馬力)の電気モーターで構成されます。

 これにより、市内走行では50%以上の時間でEV走行で移動でき、さらに150km/hまでEV走行が可能となっています。

 新型ミラノ・イブリダには前輪駆動(FF)のほか、プレミアムBセグメントSUVとしては初の「Q4」全輪駆動(4WD)も用意するのが特徴です。
 
 欧州では初版限定モデル「SPECIALE(スペチアーレ)」の受注が開始されています。こちらはEVバージョン、およびハイブリッドバージョンから選択が可能です。