世界主要国で拠点を構えるオークションサイト「コレクティングカーズ」でフェラーリ「412」が発見されました。いったいどのような個体なのでしょうか。

広い後席スペースを持つ4座フェラーリの“最終進化形”

 アメリカやイタリアなど世界主要国で取引されているオークションサイトに「コレクティングカーズ」があります。

 そのコレクティングカーズでクラシックフェラーリのなかでもGTカーとして名高い、フェラーリ「412」が出品されました。

 クラシックフェラーリの2+2モデルのなかでも最終形態にあたる412はどのような特徴だったのでしょうか。

 412と同じプラットフォームをもつ「365GT4 2+2」は1973年に誕生し、ピニンファリーナによるデザインとパワフルなV12エンジンを組み合わせたGTカーとして誕生しました。

 さらに365GT4 2+2では広い後席スペースを確保しつつも、フェラーリらしいエレガントなボディデザインにすることで北米市場で高い支持を得ました。

 その後1976年に「400GT」と「400GTi」に発展、1985年には「412」へと進化、3モデルとも約5リッターのV型12気筒エンジン、FR駆動、2+2の4シーターとなっています。

 また、GTカーというクルマの特性上、MT車よりもAT車の比率が高いのも特徴といえるでしょう。
 
 このようなクラシックフェラーリのなかでも最後のGTカーとして支持を得ている412が、オークションサイト・コレクティングカーズ イギリスにおいて出品されていました。

オークションに登場したのは希少な5速MT車

 今回オークションに登場したフェラーリ412の個体は、1989年式の最終モデルで走行距離は約9万5000km、もともとはフランスで輸入されたモデルです。

英国のオークションに登場した1989年式フェラーリ「412」のインテリア

 ボディカラーはアルジェント(ガンメタリック)で、足元は16インチの5本スポークのアルミ素材となっており、ミシュランTRXタイヤが装着されています。

 また、この当時のフェラーリらしく、ヘッドライトはポップアップのリトラクタブル式となっています。

 インテリアはシートやドアトリム、ダッシュボード、3本スポークステアリングなど、ふんだんにブラックレザーを使用しフェラーリらしい豪華な内装です。

 ほかにもGTカーらしく、デュアルゾーンエアコンやパワーウインドウ、電動調整式フロントシートが採用されています。

 さらに今回の個体は大事に扱われていたようで、フェラーリブランドのカーカバーやスペアホイール、工具、警告三角ボタン、サービス冊子、オーナーズマニュアルが付属。

 パワートレインは約340馬力を誇るといわれている4.9リッター、V型12気筒エンジンが搭載されており、412では希少な5速マニュアルトランスミッションを介して後輪に伝達します。

 もともと412は、世界で納入された数は576台といわれており、このうち5速マニュアル車は270台しかないといわれています。

 今回の個体は定期的にメンテナンスが行われており、2019年にエアコンコンプレッサーの交換、リアライトクラスターの再調整が行われました。

 ほかにも2022年にエンジンオイルとフィルターの交換、ブレーキシステムのエア抜きとフルードの交換、エンジンオイル温度センサーのオーバーホール、一般的な検査を含む整備を実施しました。

 また、2023年に付属品のベルトがすべて交換され、エアコンシステムのチェックも行われています。

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 なお、今回のオークションは入札、落札共に履歴が残っておらず、原因不明の売れ残り扱いとなっていました。

 クラシックフェラーリのなかでは刺激が少ないモデルですが、信頼性が比較的高く、4シーターということもあって普段使いしやすいモデルといえるでしょう。