グリップをきつく握ってはいけない、というレッスンをよく目にする。 それはアプローチでも? というのが今月のお題。「握る強さで寄せが開眼した」というマスター今野の答えはいかに?

「手固い」(手堅い)アプローチではシングルは目指せない!?

アプローチのグリッププレッシャー〝強く握る〞は、良い?悪い?
「ゆるく」から「強く握る」はテクニック!最初からグリップを強く握るのはNG だが、スイング中に強く握ることはある 。「アプローチでいえば、止めたいときなんかがそうですね。ボールに強烈なスピンをかけるときは、インパクトでグリップをギッと握り、ヘッ ドを一瞬止めてボールをフェースに乗せる。このギュッと握るのも“はじめはゆるく握っている”からできるテクニックなのです」(今野)

ゼン スイングは脱力して、グリップもゆるく握る。やっとこれができるようになってきた。

今野(マスター) リキまないって大事ですよね。

ゼン でもね。アプローチだけはグリップを強く握ったほうが、ミスしないように感じる。

今野 いや、アプローチこそグリップはゆるゆるがいいです。私も一時期、悩みましたが、ゆるゆるグリップで解決しました。

ゼン マスターはレベルが高いからなぁ。俺たちアマチュアはベタピンよりも、いかにミスしないかが大事だから。

今野 ミスを防ぐためには、グリップをきつめに握ったほうがいいんですか?

ゼン そうさ。クラブの動きやスイングの軌道のブレが防げるし、インパクトで打点がズレたときもボールを「もっていける」。とくに、ダフリのミスに強い感じがするね。

今野 ん〜。たまたまうまくいっているだけで、ベターではあるけどベストではない気がします。ショットはゆるく握っているのに、アプローチだけはきつく握る、と分けるのもよくないですし。ゼンさんが目指すスコアはいくつですか?

ゼン パープレー!ってのは半分冗談で、つねに80前後ではまわりたいね。たまに70台が出るゴルファー。

今野 シングルプレーヤーじゃないですか(笑)。だったらなおさらグリップはゆるく握ったほうがいいです。そのレベルだとアプローチも多彩なワザを必要としますが、グリップをゆるく握るのはマストですよ。

ゼン マスターが指摘するほど悪くないと思うんだけど。実際、ゆるく握るもトライして出した答え。きつく握っておくと、スイングがゆるまないってメリットもあったわ。

今野 アプローチはスイングスピードが速くないから、それでも「うまく打てちゃってる」という現象が起きています。それに、最初からきつく握っているからゆるんでしまうんですよ。

ゼン たしかにそうかも……。さっきマスターは「アプローチの悩みは、ゆるゆるグリップで解決した」っていってたけど、具体的には何がよくなったの?

今野 細かい調整が効くようになりました。強く握ると繊細さが失われるんですよね。

ゼン いろいろなワザを使って寄せようとして、それが思ったように打てて寄るようになった?

今野 そうです。

ゼン ピッチ&ランが転がしだけではシングルは無理?

今野 まぐれじゃないと70台のスコアは出ませんね。ピッチ&ランとランニングアプローチは、たしかにセイフティな「堅実であぶなげない」寄せ方。手元を固めた「手固い」は「手堅い」ですが、状況によってはそれでは寄せきれないときが多々ありますからね。

ゼン うまいこというね!

今野 ありがとうございます(笑)。やっぱりビッグスコアって手堅いプレーだけでは出ない。トライも必要なのです。

ゼン アプローチは強く握る、もトライだったんだけど。

今野 これでまたひとつ知識も経験も積めましたよね。ゴルフって一生トライ&エラーで、トライしないと何もはじまらないですわ。

いかがでしたか? 細かい調整が苦手な人はグリップをゆるく握る、を意識してみてください。

アプローチのグリッププレッシャー〝強く握る〞は、良い?悪い?

今野一哉
●こんの・かずや/1982年生まれ。本企画「スナックこんちゃん」のマスター兼ゴルフのプロコーチ。RainbowFM
(88.5MHz)の「サタマニ♪」(第2土曜 15:00-16:00オンエア)で、ラジオパーナナリティも務める。キッズゴルフクラブ代表。

写真=鹿野貴司
協力=LaFace
イラスト=野村タケオ