20歳の誕生日を迎え「もうオッサンじゃん」と自虐する青年。そこに「真のオッサンを舐めるなぁ!」と現れたのは、20年後の「オッサンになった自分」だった!?

「オヤジが美少女になってた話」(アクションコミックス)や「ヤンキー悪役令嬢 転生天下唯我独尊」(ヴァルキリーコミックス)などの作品で知られる漫画家の赤信号わたる(@GoAkashin)さん。ウェブ上では個人制作作品も数多く発表しており、2024年1月には無料電子書籍「赤信号わたるの漫画交差点【短編集】(3)」を公開した。

卑弥呼が現代に転生した「ヒミコ様は女子高生」や、タイトル通りながら意表を突く展開の「本に救われた文学少女」といった個人制作作品が収録されている同短編集。

中でも短編漫画「加齢なるマウント合戦」は、と若い頃の自分に「加齢マウント」を繰り広げる未来の自分が続々とやってくる…というはちゃめちゃなシチュエーションを描いたコメディ作品だ。

誰しも一度は口にしたことのあるだろう「歳とったなぁ」を題材に、結末では輪廻転生のスケールまでおよぶ同作や短編集の内容について、作者の赤信号さんに話を訊いた。

■“若者ほどすぐ「オッサンだわ」と言いたがる”あるあるネタを短編に仕立てるまで

――「歳をとったわ」というあるあるな会話がSF的に描かれるコメディです。本作を描いたきっかけを教えてください。

【赤信号わたる】あるあるからネタを考えることも多いので、若者ほどすぐ「俺もオッサンだわ」と言いたがるのをネタにできないかと思いました。自分も昔言っていた記憶があるのですが、今振り返ると漫画のようにひっぱたきたくなりますね。

――マウント合戦はハイテンションで笑えますが、子ども時代の考えや、本当に歳をとった末期の姿には考えさせられるものがありました。明るい作風のなかでメッセージ性を感じるシーンを描いた思いを教えてください。

【赤信号わたる】年齢に対する愚痴という本来はネガティブな題材ですが、歳をとるということを悲観的に描きたくはなかったので、それぞれの年齢をコミカルに描きつつ、子どもの頃の視点なども取り入れることにしました。

――そして、そんなシリアスが吹っ飛ぶようなオチには意表を突かれました。このオチはアイデアの当初から用意されていたのでしょうか?

【赤信号わたる】テーマ的に悲しい雰囲気で終わらせたくなかったので途中で追加しましたが、ネタ自体は普段そんなこともあり得るかもなと妄想していたことを流用しました。コメントだと人間以外に転生するのを嫌がる声が多かったのが少し意外でしたね。自分はもし転生できるならいろんなものに生まれ変わりたいので。

――同作が収録された無料電子書籍の短編集シリーズは3巻目となりました。今回の短編集ならではの収録傾向や変化はありますか?

【赤信号わたる】以前よりさらに実験的な要素が強くなってる感じはしました。絵についても悩んでる感じは出てますね。

――多くがSNS上で発表された作品ですが、第3巻の中でも特に反響を集めた作品や、ご自身でお気に入りの作品があれば紹介をお願いします。

【赤信号わたる】「ヒミコ様は女子高生」は自分の作品では珍しく恋する女の子が主役で、キャラのおもしろさで引っ張るタイプの作品なので新しい発見がいろいろとあって楽しかったです。


取材協力:赤信号わたる(@GoAkashin)