【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は9日の閣議で、韓日関係について、「少し前までは想像もできなかったことが今、韓日間で行われている」として、「自由民主主義の価値を共有する両国が交流・協力しながら信頼を築いていけば、韓日関係が最も良好だった時代も超え、新しい未来を開拓できる」と述べた。

 閣議はテレビで中継され、尹大統領の就任1年を翌日に控え、事実上の「国民向けメッセージ」を発表する形で行われた。

 尹大統領は日本の岸田文雄首相が7〜8日に韓国を訪問したことを取り上げ、「3月の私の日本訪問により韓日の(首脳が相互に往来する)『シャトル外交』が復活するまで12年の歳月が必要だったが、両国首脳が行き来するのに2か月もかからなかった」と述べ、12年ぶりに両国のシャトル外交が再開されたことを強調した。

 岸田首相が会談後の共同記者会見で徴用問題を巡り、「当時、厳しい環境で多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ」と発言したことにも言及し、「暗い過去の歴史から目を背けず、真摯(しんし)な気持ちで向き合えば、両国が直面している困難を克服し、新しい未来を切り開くことができる」と述べた。

 今月19〜21日に日本の広島市で開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせ、韓米日3カ国の首脳会談が開催されることを明らかにし、「韓米日の安全保障連携を通じ、域内の平和を構築するための連帯を一層強固にできる」と期待を示した。

 また、就任から1年の国政を振り返り、「外交・安保ほど大きな変化があらわれた分野はない」と強調した。就任直後に韓米首脳会談を開催し、「韓米同盟が実質的に再建された」としたほか、昨年6月に韓国首脳として初めて北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席し、自由主義陣営との連帯構築、原発・半導体・供給網(サプライチェーン)・防衛産業協力で成果を上げたとアピールした。

 そのうえで、「この1年間、韓国第1号の営業社員としてトップセールス外交を行った」とし、サウジアラビアとの総額40兆ウォン(4兆円)規模の了解覚書(MOU)26件の締結、アラブ首長国連邦(UAE)国賓訪問を通じた300億ドル(約4兆500億円)規模の投資誘致などの成果に言及。「世界の企業人にわれわれの強みを直接PRし、良質の投資を誘致して韓国をグローバル革新ハブにする」として、「今後も経済を外交の中心に置き、韓国製品の輸出拡大と海外先端企業の投資誘致のために努力する」と決意を示した。

 また、「北の善意だけに頼っていた韓国の安保も変化した」と述べ、北朝鮮のミサイル発射の兆候を探知して先制攻撃するキルチェーン、発射されたミサイルを迎撃する韓国型ミサイル防衛体系(KAMD)、北朝鮮から攻撃された場合に指導部などに報復攻撃を行う大量反撃報復(KMPR)といった3軸防衛体制の強化、過去数年間中断されていた韓米合同軍事訓練の再開を例に挙げた。

 とりわけ、先月の韓米首脳会談で発表された「ワシントン宣言」と韓米の核協議グループ(NCG)の創設を強調し、「従来の軍事力を基盤とした韓米相互防衛条約は核能力を基盤とするものにアップグレードされた」とし、「米国は核兵器を含め、前例のない水準で韓国防衛を約束し、韓国は米国の核兵器運用に関する共同企画、共同実行を通じて拡大抑止を一層強化できるようになった」と表明した。

 また、「韓国政府はこの1年間、規範に基づいた国際秩序を尊重し、国際社会で責任と貢献を果たすことでグローバル秩序の中心に飛び込んだ」とし、「そうすることが韓国の安保と経済、企業と国民にとって必要かつ有益であることは言うまでもない」と強調した。