「ポカリ」原料の異物混入を通報した社員、軟禁状態に
Amazon医薬品、化学製品に加え、「ポカリスエット」「ボンカレー」「オロナミンCドリンク」「カロリーメイト」などの食品製造も手掛ける大塚グループ。
そのグループの中核的存在である「大塚食品」で、コンプライアンスを無視した事態が生じている。
21年、大塚食品の滋賀工場で粉末タイプの「ポカリスエット」などの原料が入った袋にホコリや樹脂片が混入。
社内調査によって、非食品用のポリ袋が使用されていたことが原因と判明。
しかし、同社は事実を把握しながらもリコールなどの適切な対応を取らなかったのである。
そのため、ある男性社員が県と社内に内部通報したところ、男性は別の部署へ異動させられ常に管理職に囲まれ待機するという「軟禁状態」に置かれたとして、男性は慰謝料などの支払いを求めて同社を提訴した。
男性は、男性一人しかいない別の部署へ異動させられた上、管理職に囲まれ、常に監視カメラを設置された環境のなか、社内システムにアクセスができずPCの前に座って待機する状態を強いられていたという。
大塚食品はメディアの取材に対し「違法な対応を取った事実はありません」などとコメントしているが、食品メーカー社員はいう。
「大塚食品側の強硬な姿勢をみる限り、同社としては『最終商品に異物が混入していたわけではないので、会社の基準に照らし合わせるとリコール案件には該当しないのに、男性が会社の指示・方針を背いて勝手な動きをみせて混乱を報じさせている』という認識なのではないか」
「かといって、通報した社員を、退職を強要するかのような不当な労働環境下に置いてよいという話にはならず、事実であれば明らかに問題といえる」
大手電機メーカー管理職はいう。
「旧態依然とした大企業がいかにもやりそうなこと。現在では多くの企業で内部通報窓口が設置されているが、通報内容が通報者の上司になどに伝わって通報者が“身バレ”してしまうというケースはザラにある」
「間接部門であるコンプライアンス部門や人事部よりも営業や製造など現場を持っている部署のほうがパワーバランス的に上という会社も多く、また管理職も内部通報制度についてよく理解していないので『余計なことをしてくれた』くらいの認識しか持てない」
山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士はいう。
「世間に知れ渡っていないだけで、通報した従業員に対する有形無形の嫌がらせ、不正な人事などが多くまかり通っています。本件も“騒がないようにする”ための嫌がらせの一環と考えられます」
「マスコミなどがこういったニュースをがんがんやることで、こういうふざけた会社を晒しあげることが大切です。また、私自身、この問題に20年近く関わっているのですが、経験からは『弁護士に通じて通報する』のがベストと考えています」
以上、Business Journalからお届けしました。
編集者:いまトピ編集部