2025/2/3 14:20

「恵方巻き」スーパーで大量売れ残り、廃棄でも大量販売するワケ

恵方巻きAmazon

節分の日にあたった2月2日、スーパーなどで大量の「恵方巻」が売れ残る光景がみられ、SNS上では

<コレ全部廃棄処分?>

<半額シールついて在庫処分>

<半額になってるのにすごく残ってる>

<本当にもったいないし、悲しくなった>

<夜6時過ぎの時点。とても売り切れる量ではありません>

<¥1780の海鮮恵方巻きがまさかの¥298に>

といった声が相次いでいる。なぜ小売店は大量の売れ残りや大幅値引き販売のリスクがあるにもかかわらず、恵方巻の大量販売をするのか。また、廃棄コストや値引き販売によって利益より損失が大きくなる可能性はないのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

2日夕方頃からSNS上では、スーパーなどで恵方巻が大量に売れ残っており、半額やそれ以下の価格に値下げされているという報告が相次いだ。なぜ小売店は大量の売れ残りが発生する懸念があるにもかかわらず、大量の恵方巻を販売するのか。元ローソン・バイヤーで消費経済アナリストの渡辺広明氏はいう。

「初売りがある1月、新商品発売シーズンの3月に挟まれる2月は、スーパーにとっては売上が伸びにくい厳しい月でして、かつては一定の盛り上がりをみせていた2月のバレンタイン商戦は義理チョコの減少と高級志向により顧客が百貨店や専門店に流れたことで、スーパーでは盛り上がらなくなりました。そうしたなかで、集客のために人工的な催事として恵方巻に力を入れざるを得ないという面が強いと感じます。

 今年の小売りの現場を観察していて感じたのは、これまで以上に恵方巻の販売に力を入れるところが増え、在庫の過剰感が強くなったという点です。コンビニエンスストアや百貨店などスーパー以外での販売分も含めると、総本数は日本人で食べたい人の数を大幅に超えている可能性もあるのではないかと感じるほどです。一定の廃棄コストが見込まれるのに加えて食品廃棄が社会的によくないとされる問題があるにせよ、小売店は事業を継続させていくためには売上と利益をあげる必要があるため、リスクを覚悟の上で参入するところが増えているのが実情です。

 今年の特徴のもう一つは、消費の二極化に伴い低価格のものと高価格のものが差別化されて並んでいたという点です。小売店側も利益を確保したいという意図からか、1000円以上の高価格帯の商品を数多く投入しており、昨年と比べて全体的に金額が上がった印象を受けましたが、高価格帯の商品が多く売れ残っている光景もみられました。顧客から『さすがに高すぎて手が出せない』と受け止められた可能性があります。実際に約300円のものと約1000円のものを食べ比べてみましたが、味やクオリティに3倍の差があるかといわれれば、そこまで大きな差は感じられませんでした。

 小売店各社は昨年までの恵方巻の販売動向を分析して価格と数量を決めるものの、前述のとおり今年は小売業界全体でみれば過剰感があったように思われ、来年以降の恵方巻商戦は落ち着いていくかもしれません」

では、廃棄コストや値引き販売によって利益より損失が大きくなる可能性はないのか。

「大雑把な計算として、スーパー一店舗あたりの利益率が35~50%だと仮定すると、半額に値引くと商品単体では赤字になる場合もあると推察され、さらに廃棄コストが加われば恵方巻という商品全体でみると利益が出ないという結果になる可能性はあります。その一方、恵方巻を目当てに多くのお客さんが来店して他の商品の売上が伸びるという効果も考えられ、店舗全体でみれば利益の伸長につながるというケースもあり得るでしょう」(渡辺氏)

ビジネスジャーナルから紹介しました。

「恵方巻」をスーパーが大量売れ残り&廃棄になっても大量販売する理由 | ビジネスジャーナル「恵方巻」をスーパーが大量売れ残り&廃棄になっても大量販売する理由 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部