『三菱商事』ボーナス1400万円か
総合商社・三菱商事の年間賞与が1400万円に上るという情報が話題を呼んでいる。これについて、ある大手総合商社の社員はX(旧Twitter)上に「日本って知識や技術力が半端ない理系職超一流メーカーエンジニアが薄給で、総合商社みたいな基本的にあまりスキルがないJTC社員のボーナスが倍以上で高給なの終わってると思う」とポスト。そこには三菱重工業の在籍15~20年の社員の年間賞与が120万円、年収が900万円と書かされた転職情報サイトの情報も引用されているが、もしこれが事実であれば、三菱商事の社員は年間賞与だけで三菱重工業の社員の年収を上回っていることになるが、なぜ同じ大企業でありながら、ここまで差が大きいのか。
三菱商事の賞与・年収は高いことで有名だ。日本経済新聞社がまとめた「2024年夏のボーナス調査(中間集計)」による今年夏の平均賞与支給額は641万円。23年度の有価証券報告書によれば平均年間給与は2091万円(平均年齢42.3歳、平均勤続年数18年3カ月)。
「国内企業としては給与水準がトップクラスの総合商社のなかでも、三菱商事はトップであり、課長以下の担当者でも30代なら年間給与は普通に2500万円くらいいきます。月の給与が残業代込みで90万円と仮定すると、年間で約1100万円。そう考えると年間賞与は1400万円くらいになりますし、実際にそれくらいはもらっています」(大手総合商社社員)
総合商社といえば、伊藤忠商事が25年度の社員の平均年収を24年度見込みから10%程度引き上げる方針であることが分かり、話題を呼んだことが記憶に新しい。24年度の純利益の計画値8800億円の達成が条件だが、改定後の成績優秀者の年収は、「BAND6(部長)」が4110万円、「BAND5(課長)」が3620万円、「BAND4(課長代行)」が2970万円、「GRADE3(担当者)」が2500万円となる。岡藤正広会長CEO名で書かれた文書「年収水準見直しについて」には、
「来期以降の処遇を大きく改善し財閥系商社に負けない水準の制度に改訂する」
「三菱商事及び住友商事と同じ業績を達成した場合には、両者と同水準となります」
「日本経済界でも突出した高給になります」
などと書かれており、競合他社を意識した施策であることがうかがえる。
「明らかに三菱商事を意識したものです。岡藤会長は社長時代から『打倒・三菱商事』『打倒・三井物産』を掲げて社内を鼓舞し、実際に年によっては純利益ベースで両者を上回る実績を出しています。ここ数年、総合商社はどこも業績が好調ですが、業界内での人材獲得競争が激しくなっています。設備と技術を保有してモノを生産する製造業ではない商社は、とにかく人材の質が競争力を左右するため、各社は高い報酬を提示して新卒・中途採用で競合に勝とうとする一方、優秀な社員をつなぎとめようとしているのです」(大手総合商社社員)
同じ東証プライム上場企業で三菱グループの三菱重工業。前述のとおりある転職情報サイトには在籍15~20年の中堅社員の年間賞与が120万円と記載されている。23年度の有価証券報告書によれば平均年間給与は966万円(平均年齢42.4歳、平均勤続年数19年0カ月)。つまり、三菱重工業の年間給与は三菱商事の年間賞与よりも低いということになる。
「ものすごく単純化すると、三菱重工は社員約2万2000人で年間売上高が約4兆6571億円(24年3月期)なのに対し、三菱商事はその4分の1の社員数、約5000人で19兆円を超える売上高をあげており、平均年収で倍の差が出るのは当たり前です。加えて三菱重工はプラント設備や航空機部品など重電をはじめとする巨大なモノを生産するための大規模な設備を維持し、毎年新規投資をする必要があり、多くの工場従業員を雇用する必要があります。一方、三菱商事は基本的には自前でたくさんの設備を保有する必要はなく、近年、業務内容は投資銀行化しつつあるので、重電メーカーと比べると、はるかに効率よく稼げるビジネスモデルになっています」(大手銀行系ファンドマネージャー)
と、ビジネスジャーナルが報じた。
編集者:いまトピ編集部