『ヤマト運輸』一斉に打ち切ることを発表も「完全にルール違反」
Amazon日本郵便への小型荷物(旧「ネコポス」)の配達委託を中断することを申し入れ、同社から120億円の損害賠償を求めて提訴されたヤマト運輸。日本郵便は昨年6月に合意したばかりの提携をヤマト運輸が一方的に反故にしているとして反発を強めているが、ヤマト運輸は今年8月には日本郵便と手掛ける小型荷物配送の「クロネコゆうパケット」と競合する自社独自の「こねこ便420」を開始。業界からは「完全にルール違反であり、日本郵便にケンカを売っている。ここ数年のヤマトの経営は理解不明なことが目立つ」(大手配送企業関係者)という声も聞かれる。一方、日本郵便の郵便事業は多額の赤字となっており、2015年に6200億円を投じた豪大手物流会社トール・ホールディングスの買収が原因で17年に約4000億円の減損が発生し、効果を出せずに21年には売却と特損計上に追い込まれるなど、日本郵便も経営の迷走が目立つ。業界関係者は「経営が迷走する企業同士が提携して失敗した典型例」と指摘する。
ヤマトショックが世間を驚かせたのは昨年6月。メール便「クロネコDM便」と小型荷物「ネコポス」の配達を“長年の宿敵”とされた日本郵便に委託すると発表。さらに約3万人に上る配達員(クロネコメイト)との業務委託契約を25年3月末までに一斉に打ち切ることを発表した。だが、合意から1年半後の今月、ヤマトが25年1月〜26年3月に「ネコポス」の後継サービス「クロネコゆうパケット」の配達委託を中断したいと日本郵便に申し入れていたことが判明。日本郵便はヤマト運輸に損害賠償を求めて提訴するに至り、蜜月は短期間で終わりを迎えることになった。ちなみに、メール便の委託については継続する、とビジネスジャーナルが報じた。
編集者:いまトピ編集部