「セブンイレブン」強気な価格設定も「重要な要素を削除している」、なぜ
コンビニエンスストアチェーン「セブン-イレブン」が12月24日に発売した「ソースカツ丼」がキャベツの千切りが入っておらずトンカツとご飯のみであり、かつ価格が600円超えの645.84円(税込)という強気な設定になっていることから、「重要な要素を削除している」として一部SNS上で話題を呼んでいる。これまでセブンで販売されていたソースカツ丼にはキャベツが入っており、他の小売店や飲食店でもキャベツ入りが一般的だが、なぜセブンはあえてキャベツを抜いたのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
ドロッとした茶色のソースがトンカツの全面にかけられた同商品。「甘みとコクが特徴」と謳われているとおり、原材料としてソース、ケチャップ、砂糖、醤油、りんごソースが使われ、酸味と甘みが強く感じられるのが特徴だ。そしてもう一つの特徴といえるのが、キャベツの千切りがない点だ。たとえばローソンの「三元豚の厚切りロースソースカツ丼」(689円)、ファミリーマート「長野名物ソースかつ丼」(646円)にはキャベツが入っており、消費者の間では「ソースカツ丼といえばキャベツの千切り」というイメージが強いといえる。もっとも、デイリーヤマザキの「タレかつ丼」(669円)、ファミリーマートが2月に発売していた「福井名物ソースカツ丼」(598円)のようにキャベツが入っていないケースモある。そして今回のセブンの商品は「トンカツとご飯だけで600円超え」という点にも、さまざまな反応が寄せられている。たとえばセブンの複数のおかずが入った「鶏めし御飯幕の内」は594円、「旨辛牛焼肉の温玉ビビンバ丼」は572.40円、卵や玉ねぎなどを使った「味しみロースかつ丼」は594円、野菜やエビ、豚肉を使った「1/2日分の野菜がとれる中華丼」は594円となっており、これらよりも高い価格となっている。また、12月に発売され人気商品となっている「エリックサウス監修 ビリヤニ」「稲田シェフ監修 シュクメルリ」とは同額だ。
「その理由はキャベツの価格高騰だと考えられます。スーパーでは一玉400円、高いときには800円で売られています。最近のセブンはスーパーだけではなく他のコンビニと比較しても価格が高いというイメージが消費者の間で広まっています。そのため、セブンはお客さんが他のコンビニに流れてしまわないように意識しているので、ターゲットとする価格内に収めることを重視したのだと思います。
現在、飲食店や食品小売店にとって野菜を含む原材料の高騰は頭の痛い問題です。お盆のシーズン、年末年始、悪天候時、暑さ寒さの厳しい時に野菜の価格は上がる傾向があります。私が経営していた東京・新宿のダイニングバーで大盛サラダをランチのセットとして提供していたときも辛いなと思うことが多々ありました。葉もの(玉レタス、サニー、グリーンカール等)の価格はキャベツよりも価格変動が激しかった記憶があります。他のコンビニやファストフードと比較されたり、1円単位でコスト削減を意識しているチェーン店にとって材料費の高騰はとても深刻な問題なのです」
では、セブンの「ソースカツ丼」はクオリティや量を勘案すると、価格の妥当性をどう評価できるか。
「実食した感想としては、お肉は従来のコンビニで使用されている、少しパサつく食感でした。ソースの味は濃くて甘じょっぱく、濃い味派にとっては好みの味だと思います。ソースだけでライスが食べられるほどの味の濃さと量なので、お肉の味をカバーする役割にもなるでしょう。ライスは控え目のボリュームです。キャベツというアクセントや味変がないので、ソース・肉・ご飯の味がずっと続き、個人的には前向きな評価はできず『まあ、こんな感じなのね』という評価となってしまいました。
価格の妥当性は原材料費だけでなく、他店の類似商品との比較からも考えるべきです。キャベツが入った松のや『味噌ロースかつ丼 並盛』(630円/肉120g、味噌汁付き)や、かつや『ソースカツ丼 梅』(649円/肉80g)などに比べると、ご飯の量やキャベツの有無を考慮すると、セブンは少し劣るかなと思います。私の自宅の近隣にはセブンも、かつ丼を扱うファストフード店もあるのでセブン以外を選びますが、セブンしかなくて濃い味が好きな人はセブンのソースカツ丼を選ぶかもしれません」
と、ビジネスジャーナルが報じた。
編集者:いまトピ編集部