ついに倒産件数894件...過去最高を記録でも「常に行列が絶えない」ともっぱらの評判
未曾有の物価高が襲う日本列島に、不景気の波が押し寄せている。廃業に追い込まれるケースも多く、ついに飲食店の倒産件数が過去最高を記録した。
1月14日に帝国データバンクが、2024年の飲食店倒産動向調査の結果を発表。2024年の倒産件数(負債1000万円以上、法的整理)は894件で、前年(768件)比16.4%増。コロナ禍の2020年(780件)を上回って過去最多を更新したという。
特に業績が悪いのは居酒屋などの「酒場、ビヤホール」(212件)、「中華料理店、その他の東洋料理店」(158件)、「西洋料理店」(123件)だった。
「中華料理店・東洋料理店」はラーメン店が足を引っ張っており、過去最悪(158件)を記録。7日に発表された帝国データバンクの資料では、2024年のラーメン店経営事業者の倒産件数は72件にのぼり、前年の53件から急増して過去最多に。ラーメン店の「3割以上が赤字」だと明らかになっている。
原材料や人件費、光熱費の高騰などが大きな負担になり、ラーメン業界は空前の大恐慌にあるといえるかもしれない。
そんな中、孤軍奮闘するのが、全国に100店舗以上を展開するラーメンチェーン・山岡家だ。
山岡家を運営する丸千代山岡家は、10日に「2024年12月度売上高速報」を発表。ラーメン大恐慌の中、全店の前年同期比で売上高(121.7%)、客数(117.9%)、客単価(103.2%)の成長を見せている。
好調ぶりは丸千代山岡家の株価にも表れており、2022年末は600円前後だった株価が、現在は4000円代を記録するなど、“テンバガー”銘柄の仲間入りを果たしている。
業績好調の裏には、ネット社会に適応した巧みなマーケティング戦術が挙げられるだろう。
「山岡家はYouTubeやTikTok、ソーシャルメディアに強く、ラーメン系YouTuberやお笑い芸人のYouTubeチャンネルに頻出している。TikTokには『山岡家最強アレンジ』『夜中に1人で山岡家を食べる女子大生』などといったショート動画が大量に出回り、再生回数を稼いでいます。インフルエンサーらがこぞって山岡家を訪れて動画を撮影・投稿し、“ブームがブームを呼ぶ”状況になっている」(フードアナリスト)
実際、SNSでは常に行列が絶えないともっぱらの評判だ。
「山岡家は都心部に店舗がなく、主に郊外に出店している。しかも、基本的に24時間・年中無休なので、動画を見て“山岡家熱”が高まったら、すぐに店舗へ足を運ぶことができる」(同)
この24時間営業というのは、ラーメンの味にも関係してくるようだ。
「ラーメンチェーンには“資本系”と呼ばれる工場調理のスープを使う店も多いが、そのスープはラーメンマニアから蛇蝎のごとく嫌われている。一方、山岡家は各店舗が厨房でスープを調理しており、丸3日間煮込み続け、4日目にようやく提供できる。そのため、24時間営業でないとスープを作れない。また、豚骨を煮込む独特のニオイのせいで臭害となってしまう可能性があるため郊外に店舗を構えている」(同)
そのためか、山岡家の新卒採用サイトには「24時間営業・年中無休・店内調理・広い駐車場というコンセプトで展開しているのです」という記述も見てとれる。
「価格設定もまた巧みで、ラーメン業界で定説の“1000円の壁”を意識してか、30種類近くあるメニューのほとんどが1000円以下。オーソドックスな醤油・味噌・塩ラーメンは、それぞれ690円。低価格のため若年層が訪れやすく、SNSへ来店したと投稿し、宣伝費をかけずに名前を出してくれる」(同)
リピーターやインフルエンサーらが訪れ、絶賛するのはラーメンの味が良いからに他ならないだろう。しかし、現代は味よりもマーケティングがモノをいう世界になってしまったようだと週刊実話WEBは報じている。
編集者:いまトピ編集部