Netflixで異例のヒット『ドラマ』見事な怪演ぶり「モンスター級サイコパス」
今や日本人会員数1,000万人を突破し、世帯シェア率で20%を超えるNetflix。同サービスで先週人気だったTV番組をランキング形式で振り返り、上位の番組が人気の理由を掘り下げる。
1位は、テレビ東京系で放送中のアニメ『SAKAMOTO DAYS』。原作は「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の同名コミックで、伝説の殺し屋・坂本が裏社会を引退するも、さまざまな殺し屋から命を狙われる内容だ。
3位以下は、いずれも放送中の同局ドラマ『ホットスポット』、TBS系ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』、同局系ドラマ『地獄の果てまで連れていく』が続く。
中でも、深夜ドラマ枠「ドラマストリーム」で放送中の『地獄の果てまで連れていく』はここにきて順位が急浮上しており、2月27日より連日「TV番組TOP10」で首位を獲得。深夜ドラマがNetflixでここまでヒットするのは異例ともいえる。
なお、『地獄の果てまで連れていく』は、かつて花井麗奈(渋谷凪咲)に父を殺された上、自身に殺人者の汚名を着せられた橘紗智子(佐々木希)が、復讐のため顔を変えて麗奈に近づくストーリー。主演は佐々木で、井上祐貴、向里祐香、板尾創路らが脇を固める。
『地獄の果てまで連れていく』が人気の理由について、ドラマライターの北村有氏に聞いた。
「佐々木さんが復讐をする側、渋谷さんが復讐をされる側というキャスティングの時点で9割勝利!という印象です。渋谷さんはまだ演技経験が浅く、バラエティでの天真爛漫なイメージが強いですが、だからこそ麗奈のようなモンスター級サイコパスな役を演じると怖さが倍増します。脚本は、昨年公開の映画『熱のあとに』も手がけられたイ・ナウォンさん。ここまで話題になっているのは、麗奈から理不尽に裏切られ、地獄の人生を味わった紗智子が復讐に燃える、という構図がシンプルでわかりやすい点が挙げられると思います。
それに加えて、麗奈の大切なものを奪うという紗智子の意識が、少しずつ『麗奈の魔の手から周囲の人を守る』といった方向に転換しようとしている過程も新鮮です。ある意味、こういった復讐・猟奇ものでは『真犯人=殺人に快楽を覚えるだけのタイプ』といった図式は半ばタブーというか、食傷気味で避けられがちだと思うのですが、本作では麗奈がモンスターだからこそ成り立つ要素が絶妙なバランスで成り立っている。だから、Netflixで次から次へと再生して見てしまう人が多いのではないでしょうか」
人情深くて復讐に向いていない性格の紗智子と、他人の命をなんとも思わず、笑いながら刃物を振り回す麗奈の対比も見どころの同作。毎回、渋谷の見事な怪演ぶりが大きな話題となっている。
「今クールは『私の知らない私』(日本テレビ系)にも出演されている渋谷さんですが、同作で演じている中谷莉奈は承認欲求をこじらせて自分では何ともできない境地に陥ってしまう役。そして、麗奈は手のつけられないモンスター級サイコパスです。どちらもバラエティで見せる朗らかな印象や、元アイドルで好感度の高いパブリックイメージを逆手にとり、役柄に反映させているあたりは上手だなと思います。演技も好評で、ご本人も意欲的な様子が見受けられます。
一方、佐々木さんは、直近で言うとドラマ『アイのない恋人たち』(テレビ朝日系)の稲葉愛役が印象に残っています。ちょっと影がある、人には言えない過去を背負っている役柄がハマっていました。今回の紗智子は、麗奈への復讐に燃え、感情を爆発させるシーンもありますが、基本的には悪になりきれない人間味が根底に流れているキャラクター。どことなく『紗智子を応援したい』という気持ちにさせられるのは、佐々木さんの天性の魅力と手腕によるものだと思います」
最終回へ向けてますます盛り上がりを見せそうな『地獄の果てまで連れていく』。Netflixでの勢いにも注目したいとサイゾーウーマンは報じている。
編集者:いまトピ編集部